槍穂縦走 二日目 ~大切戸からの夜明け~
穂高縦走
後から思い出してみると、槍からずーっと歩き続け、北穂で一息ついたせいか、涸沢岳への登りが最もきつかったように思える。北穂を出発してちょっと下ると北穂分岐の指導標に差し掛かる。北穂高岳に登るほとんどの登山者は上高地を出発し、横尾から横尾谷、若しくは徳沢からパノラマコースを経て涸沢から南陵を登ってくるそうだ。その合流地点がここ。
北穂南峰に向けて登っていくが、山頂直下を涸沢側へ巻く。更には滝谷ドームも涸沢側を巻く。いずれも岩を伝ったり、岩屑の道を歩いたり。常に緊張感を保たないと行けないが、ふと涸沢側を見ると前穂北尾根がその全容を見せている。初めて見た時と同様、やはりゴジラの背中だ。
まだまだ時刻的には朝のせいか、すれ違う登山者も少ない。
山頂の一角から涸沢岳へのルートが延びている。十分休憩を取って出発。
北穂分岐の指導標。ここから南陵を下ることができる。
南峰へ向けてちょっと登る。山頂へは登らず、涸沢側を巻く。
涸沢岳まで・・・厳しいなあ。
左手、涸沢側を見ると前穂北尾根の全景を望むことができる。
滝谷ドームは涸沢側を巻く。下から見上げると圧巻だ。
難所の連続だ。涸沢側から飛騨側へ岩を乗り越えたかと思ったら、今度は奧壁バンドのトラバースだ。眼下はあの滝谷。落ちたら助からないどころか、遺体もピックアップできないとか。距離としては短いが最大の緊張を強いられる箇所だ。
奧壁バンドを過ぎると眼下にコルが見える。あそこが北穂高岳~涸沢岳間の中間地点の涸沢のコルだ。コルには錆び付いた看板に「最低コル」と書かれている。ここまで緊張する難所でかなり疲れてしまった。ザックを下ろし、前穂北尾根を眺めながら小休止する。
涸沢側から飛騨側へ岩を乗り越える。きついぞ!
ここから奧壁バンド。右手はすっぱり切れ落ちた滝谷。
奧壁バンドを無事通過。眼下には涸沢のコル。
振り返ると滝谷ドーム。一気に下ってきた。
涸沢のコルに到着。錆びた看板はいつのものだろう。
コルから先は亀岩が鎮座する。
涸沢のコルで小休止した後、涸沢岳に向けて出発。最初は目の前の亀岩を登っていく。し、しかし朝3時から歩き通し。すぐに息が切れてしまう。下ってくる女性が道を譲ってくれるのだが、こちらが譲るくらいだ。
とにかく力任せに登っていき、ハシゴと鎖をクリアすると涸沢槍。しかしひたすら登ってきたせいか、更にはここからもきつい登りが続くせいか、ピークに着いた感覚はない。
ここからちょっと下り、D沢のコルを経て涸沢岳に向けた最後の急登が始まる。下りの登山者がいないことが幸いだ。
ここは落石にも注意。上からの落石はもちろん、自分が落とさないようにしなくては。
ふらふらになりながらも頭上に青空が見えてきた。この岩を登ればいよいよ稜線に出るぞ
さあ、涸沢岳に向けてのきつい登り。最後の力を振り絞る。
ハシゴを通過。上から人が下りないか確認してからね。
やっぱ高度が上がると景色も違ってくるな。北穂や滝谷ドームがすごいぞ。
ここの鎖場を登れば涸沢槍。涸沢岳まではまだまだ。
じぇじぇじぇ!! あそこまで・・・登るか!!
とにかく無心に登る。しかし石を落とさないように細心の注意。
ここを登れば稜線だ!!