槍穂縦走

槍穂縦走 二日目 ~大切戸からの夜明け~

奥穂への路

昨日は夕方こそガスが出たものの、槍の山頂では抜けるような青空。更には夕方には雲海の中に沈む夕陽と初日からラッキーが重なったようだった。今日は3日間の山行の中でもメインとなる槍穂の縦走だ。目的地は穂高岳山荘。何とかお昼までに到着し、奥穂高岳にも登っておきたいところ。
いろいろ考えに考え抜き、自分の体力も考えて昨日と同様、朝の3時に山荘を出発する。さすがに玄関には誰もいないだろうと思っていたが、数人がライトを点けて何かをしている。しかし出発する準備では無さそうだ。

定刻になり出発する。空には星が出ているので今日もいい天気になるかもしれない。月齢は22.6。昨日が下弦だったのだが思った以上に辺りは明るい。パーカーの下にフリースを着込みテン場を飛騨乗越に向かって下りていく。たまに吹く弱い風も寒さは感じないほどだ。

飛騨乗越からは大喰岳に向けての登りだ。ここは特に迷う道ではない。今日は岩場を含む長丁場なので最初から飛ばさないように心掛ける。間もなく斜面が緩やかになったかと思ったら、左手に広場が現れた。暗い中よくよく見るとそこら中にケルンがある。
あれ? ここが大喰岳なんだろうか? 山頂を示す標識を探したがなかなか見つからず。ここで時間を費やす訳にもいかないので先を急ぐことにする。後で調べてみたら、やはりケルンが点在するところが大喰岳山頂だった。ここだけ写真はナシ。まぁ、いいか。まずは2座目大喰岳(3,101m)制覇。

  

次は中岳。暗闇の中、ルートは緩やかな下りだ。明るかったら素晴らしい稜線歩きとなるだろう。しかしその先には鋭い山のシルエット。ひぇ~・・・結構中岳まで標高差あるな。

中岳山頂直下まで来たようだ。目の前にはハシゴ。なるほど、ここから一気に山頂まで上がるんだ。2カ所のハシゴを上がると中岳山頂。なんかインチキしたみたいだけど、ここがルートなのだからしょうがないもんね。しかしここも明るければ大絶景だろうな。3座目中岳(3,084m)制覇。
山頂からは新道を下っていく。これまでとは異なり、大きな岩盤が重なったところを浮き石に注意しながらペンキマークを下る。途中で水場があるはずなのだが、暗くてわからない。まぁ水はいっぱいあるので大丈夫。次は南岳。

槍穂縦走

朝の3時に槍ヶ岳山荘を出発。星空の下、さほど寒くはない。

  
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飛騨乗越まで下りてきた。ここから大喰岳へ向けての登り。

槍穂縦走

中岳山頂に到着。標高からすれば大喰岳よりちょっぴり低いがかなり高く感じる。

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まだまだ続く稜線歩き。先は長い。次は南岳だ。


  

中岳からの下りからは緩やかな登りだ。再度軽快な稜線歩きが始まる。途中で親子らしき男女2名とすれ違う。何時にどこを出発したんだろう。逆に相手もそう思っていたかもね。

順調に南岳に向けて進んでいるが、だんだん暑くなってきた。たまらず途中で下に着ていたフリースを脱ぐ。日の出前に3,000mを越える稜線でこんな薄着になるとは予想外だ。再度出発してしばらく歩くと天狗原への分岐点に到着した。となると、南岳へはあと20分くらいかな?

道は更に緩やかになってきた。辺りは遮るものはないが、稜線歩きには無風という絶好の条件だ。

槍穂縦走

天狗原への分岐。天狗原は氷河公園とも呼ばれるそうだね。

  

だんだんと左手、すなわち東の空が赤くなってきた。よくよく見ると富士山から南アルプス、八ヶ岳が朝焼けの中、雲海に浮かんでいる。

間もなく目の前に標識が現れた。ヘッデンで照らしてみると、南岳の標識。お、ここが南岳か。山頂というよりも稜線上の登山道の途中という感じだ。
山荘を出発してから約2時間ちょっと。日の出はまだまだだ。

槍穂縦走

朝焼けの雲海に浮かぶ富士山。右は甲斐駒ヶ岳。更には北岳、間ノ岳と3,000mを越える南アルプスが続く。

  
槍穂縦走

南岳山頂から。明るくなってきた東の空に常念岳のシルエットが見事。その後ろの雲海には浅間山がちょろんと顔を出している。

槍穂縦走

山頂の看板はかなり古いね。

  
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南岳(3,032.7m)制覇。3,000m峰4座目だ。

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北側には歩いてきた槍ヶ岳と中岳。日の出前に見えているのもまたいい。

  
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山頂には三角点もあるんだ。南岳三角点ゲット。

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穂高連峰揃い踏み。今日の目標の奥穂も見える。あそこまで無事に辿り着けるのか?

槍穂縦走

南岳から日の出前の景色。槍から裏銀、常念山脈のシルエットの向こうは幻想的な雲海だ。


南岳を過ぎると眼下に南岳小屋が見える。そうか、南岳に隠れて南岳小屋は槍からは見えなかったんだね。ここはいつもライブカメラを見てるんで初めてという感じがしないな。御来光を見るためか、小屋から数人が南岳山頂に向かって登ってくる。小屋は見晴らしがあまりよろしくないので、このまますぐ先の獅子鼻岩へ行く。
獅子鼻岩からは今歩いてきた南岳や先ほど見た東の空の雲海ばかりでなく、大キレットから北穂への縦走路が見下ろすことができる。

  
槍穂縦走

南岳を過ぎると眼下に南岳小屋。バックは大キレットから北穂だ。ちょっと暗いのでピンボケは勘弁。

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南岳小屋に到着。静かで雰囲気のいい山小屋だ。

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大キレットの入り口、獅子鼻岩から。御来光を待つ人たちがわかるかな? タイトルは「獅子鼻岩からの日の出」だけど、まだ日の出前・・・。

  
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八ヶ岳を拡大。八ヶ岳の向こうに百名山の甲武信ヶ岳も見えている。手前の蝶ヶ岳ヒュッテからも御来光を見ている人いるだろう。

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日の出はあと少しだが、先に大キレットへ出発。

  
槍穂縦走

獅子鼻岩の上からこれから目指す大キレット、北穂高岳、涸沢岳が一望できる。槍からの稜線を歩いている時、北穂高小屋の灯りが見えていたっけ。

獅子鼻岩には誰もいない。写真を撮っていたら山荘に泊まっていた人が一人やってきたのみ。ここからは大キレットを見下ろすことができるけど、日の出前だからちょっと迫力に欠けるかな?

さて、御来光を待っていてもちょっと寒くなってきたので、日の出前に出発。さあ、今回のメインイベント、大キレット越えの始まりだ。


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