穂高縦走 三日目 ~5年間の集大成~
奥穂高岳到着
前方に見えるは馬ノ背。最後方にはゴールの奥穂高岳山頂が見えている。
最後の難関、馬ノ背が立ちはだかる。
よ、ようやく登りきった。さすがに長時間登ったり下ったりを繰り返していると疲れる。目の前には馬ノ背、遠くには奥穂高岳山頂が手に取るように見える。しかし最後の難関、馬ノ背を超えなければならない。あとちょっと集中して根性出せよ!
目指す奥穂は目の前だ。あとひと頑張り。
奥穂高岳山頂にいる人も見えるぞ。ようやくここまで来た。
最後の難関馬ノ背に挑む。取り付き部にはペンキで「ウマノセ」と描かれてある。見上げると・・・
「馬ノ背だ・・・!」
このナイフリッジ自体は数十メートルの長さでさほど長いことはない。しかも西穂側からなら登りになるので、奥穂側から下るのよりまだマシだ。最初は信州側に足場があるのでゆっくり慎重に登っていく。高度感はたっぷり。あの戸隠の蟻の戸渡りより怖いぞ! 信州側の足場がなくなったので、次に飛騨側へ。そのまま進んでいくと、あっけなく馬ノ背はクリアしてしまった。落ちなくてよかったよ。
あとは目の前の奥穂高岳山頂を目指して進むのみ。しかしあと少しなのに、わずかな登りがきつい。最後は息を切らしながら岩を伝っていく。ここでも浮き石が多く、一瞬の気の緩みが事故につながるので、集中力を保ちながら山頂を目指す。その山頂には何人かいる。こちらを見ているだろうか?
目線がジャンダルムとほぼ同じだよ。よく登ったな。
前方の岩に描かれてある「ウマノセ」
見上げるナイフリッジ。数十メートルの距離だが、ここを這いつくばっていく。高度感はこのルート一番。戸隠の蟻の戸渡りより怖い!(このために戸隠まで行って特訓したんだけどね)
最初は信州側に足を掛けて進む。
次は飛騨側に回り込んで進む。あと少しだ。進むのに必死でビビる暇もないな。
馬ノ背はあっという間だった。どうしても難所をクリアすると振り返ってしまう。
あとはここを登るだけだ。ゴールは目の前。
登って下りて・・・。どれだけ繰り返しただろう。
山頂で出迎えてくれる・・・訳ないか。でもあと少しガンバル。
ようやく来た。見覚えのある標識。昨年白出沢から登った最後に山頂直下にあった標識だ。山頂の方位盤には数人が景色を楽しんでいる。後ろから回り込み方位盤にタッチ。
「キターッ!!!」
と一声。思わず叫んでしまった。
周りの人は最初は何事かと思っただろう。しかし西穂山荘から縦走したことを知ると、縦走路のこと、岩場のこと、ジャンダルムのことを次々に聞いてきた。そう、長い縦走路を歩いてきて、誰一人ゴールにいなかったらちょっと寂しい。彼らを半ば強引に出迎えてくれたことにして、縦走記念として抹茶キャラメルを配り、写真を撮ってもらった。
山荘への標識。昨年登ってきたところだ。
山頂では数人が景色を楽しんでいる。
その人たちを掻き分け、方位盤にタッチ! ようやく辿り着いた奥穂高岳山頂だ!
時間を確認してみる。山荘を出発したのが2時50分。今は・・・9時40分? 10時間の予定が6時間50分で来たことになる。いやはや、山の神様でも乗り移ったのだろうか、自分としては予想外のペースだった。
それにしてもチャレンジし甲斐のあるルートだ。体力、技術、気力の3つと、これらを最初から最後まで維持する集中力が必要だった。それだけ厳しく、危険な縦走路だった。また、天気も味方してくれたことも運が良かった。雨に降られた初日は戻って正解だったのだ。あのまま進んでいれば滑落する可能性はかなり高かっただろう。
あのギザギザを木村さんと笠新道から見上げてから5年。当時は絶対無理だと思っていたが、今ようやくそのギザギザを走破した。あきらめずに頑張ってよかったなぁ。上空はもう秋だ。
無理矢理(?)出迎えさせた人たちに撮ってもらった会心の一枚。5年間の集大成だ。