穂高縦走 三日目 ~5年間の集大成~
前半のクライマックス
登りきった目の前にはぽつんと標識が立っていた。「天狗岳山頂」、右は「奥穂高岳」、左は「西穂高岳」。ここは天狗ノ頭(天狗岳)。標高2,909mは西穂高岳と同じ高さだ。ここは前半のクライマックス。360度の大大大絶景だ。運のいいことに空の雲も少なくなってきた。
どうやらここからはジャンダルムや奥穂高岳は手前のピークに隠れて見えないようだ。しかしその左手には涸沢岳、そして遠くに見慣れた山の形。朝は雲に隠れていた槍ヶ岳が姿を見せている。何という素晴らしい光景。これもこの場所でないと味わうことができないか。
目の前に天狗岳の標識。ようやく前半のクライマックスとなった。
手前の天狗のコルから目の前の畳岩尾根ノ頭に一気に登る。ゾッとするな。
涸沢岳の左手奥、遠くの尖った山は…北アルプスのランドマーク、雲一つ無い天空を指す槍ヶ岳だ。
この後登る岩場。ジャンダルムや奥穂高岳は更にこの向こうだ。
間ノ岳から間天のコルへ下り、天狗ノ頭に登ってきた。険しい稜線を振り返る。
時刻は6時25分。山荘を出てから3時間35分と早いペースだ。早朝の天狗ノ頭に一人。久々の「俺山」だ。
至福の一時。まさに「俺山」を満喫。
改めて間ノ岳を振り返ってみる。見下ろしても逆層スラブの岩肌はよくわからない。しかし西穂高岳へ続く稜線を見ると、はるか遠くから歩いてきたんだなぁと感慨深い。しかしホッとしていてはいけない。あくまでここは中間地点。ここから天狗のコルに下り、前半終了となるのである。まだまだ集中力を欠いてはいけないのだ。幸いなことに天気が良く、体調も良好。アメちゃんをなめて元気を出す。
おや、笠ヶ岳の山頂に雲の笠。
見下ろすと岳沢から上高地にかけて梓川が一望できる。
さてと、たくさん写真も撮り、休憩もほどほどに取ったので、ここからルート前半のゴールとなる天狗のコルに下る。気ぃ抜くなよ!
ここからだと真下に岳沢小屋が見える。
そして梓川下流には河童橋周辺の山荘。そろそろ皆さん朝の散歩の時間かな?
360度とはいかないが、絶景を楽しんでほしい。高度感は抜群だ。西穂高岳がちょろんと顔を出している。
天狗ノ頭から一気に岩場を下る。間もなく天狗のコル。コルに下りるときも少々難儀するが、しっかりと足場を探せば大丈夫。
天狗のコルからは本ルート唯一のエスケープルートが岳沢へ延びている。しかしここも足場は悪く、慣れない人は控えた方がよさそうである。天候悪化や体調不良の時はここから岳沢へ下りていくことになるが、それ故上高地までの途中に岳沢小屋があるのは心強い。
天狗のコルに下りる。標識が見えてきた。
ここも鎖は途中まで。足を目一杯伸ばして何とか着地。
天狗のコルに到着。ここから岳沢へエスケープも可能だ。
標準タイムでは西穂山荘~西穂高岳が3時間、西穂高岳~天狗のコルが3時間の計6時間。現在6時50分。山荘からここまでちょうど4時間だ。後でバテなければいいが・・・。