穂高縦走

穂高縦走 三日目 ~5年間の集大成~

吊尾根から日が昇る

前日は悪天候のため西穂高岳から戻ってきた。気になるのはやはり天気。いつもの如くほとんど寝ることはできなかった。時刻は2時。今日新穂高まで下山する二人組は気持ちよさそうに寝ている。今日はソロなので昨日よりももうちょっとだけ早出しようかと天気予報を確認しに1階へ下りた。不安定ながらもどうやら今日はもちそうだ。しかしスポット予報ではお昼頃に飛騨と信州のこの辺りで雨雲が発生する可能性があるとのこと。となると、奥穂には昼頃に着くようにしないと危険な箇所で土砂降りにでも遭ったらひとたまりもない。奥穂まで10時間の予定。最後は何とか降られてもいいとすると、3時には山荘を出発したい。急いで出発の準備にかかる。出発間際にイケメン兄さんが起きてきた。こちらが出発を早めると聞いて、予定を繰り上げるそうだ。

順調にいけば西穂高岳辺りで明るくなってくるだろう。しかし独標より向こうは岩場のアップダウンの連続でナイトハイクは非常に危険だ。朝露で岩の表面も濡れているかも知れない。遭難事故が多いルートなので、くれぐれも今回のタイムスケジュールは参考にしないようにしてほしい。当たり前であるが、登山は自己責任なのだ。

3時前に山荘を出発。どうやら自分が初発のようだ。昨日西穂高岳まで行ったのが唯一の安心要素か。いや、安心ではない。ヘッデンを頼りに慎重に登っていく。まずは独標。山荘を出てから55分。何もタイムレースをしている訳ではないが、要所要所での時間はチェックしておく。ここからが難所だ。気をいっそう引き締め、集中力を高めて行こう。

次のチェックポイント、ピラミッドピークに到着。山荘から1時間15分。ちょっとペース早いか? 周りは真っ暗だが、なぜか落ち着いている。やはり昨日往復しているのがよかったんだろう。
ペンキマークをヘッデンで追いながら歩き続けること1時間50分。西穂高岳の山頂に到着した。昨日はガスで視界はゼロ。今日は真っ暗で視界はこれまたゼロだ。天気が良ければ絶景だろう。ここは木村さんとまた来よう。

  
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3時前に山荘を出発する。やはり天気が心配だ。今日はソロなので慎重に。

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まずは独標。1時間かからなかった。ここから先が大変。

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ピラミッドピーク到着。まだ辺りは真っ暗。ちょっとペース早いか?

  
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無事に西穂高岳に到着。山荘からは1時間50分。時刻は4時40分。日の出はまだまだ。

わずかに東の空が明るくなってきたか。さて、ここからが未踏のルート。無事に奥穂へ辿り着けますように。
(もう一回書くけど、ナイトハイクは危険なので止めてね。)

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「主峰」と書かれている山頂。ちょっと東の空が明るくなってきたか。


  
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西穂高岳からの第一峰。P1とペンキで描かれている。だいぶ明るくなってきたぞ。

予定よりかなり早く西穂高岳に到達するが、ようやく縦走ルートのスタートに立ったと言っても過言ではない。まずは西穂高岳から岩場を下る。暗いせいか、岩場が久々のせいか、ちょっと調子が出ない。しかしペンキマークに従い、慎重に下っていく。次に軽く登ると岩に「P1」と書かれたピークに到達した。晴れた日はP1から西穂高岳を振り返ると爽快だろう。西穂ピストンでもP1までは行ってみたいものだ。

P1から行く手を見ると、空が先ほどより明るい。奥穂から吊尾根を経て前穂がシルエットとして浮かんでいる。この時間にここに来ないと見られない光景だ。前穂から吊尾根にかけて明るくなっているということは、あそこから日が昇るのだろう。やはり明るくなってくると元気が出てくる。

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行く手には奥穂高岳と前穂高岳。どうやら日が昇るのはちょうど吊尾根からのようだ。


  
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下りてきたところを見上げる。久々の本格的な岩場にまだ調子が出ない。

P1から一旦下る。右手を見ると、眼下に朝の上高地が広がっている。これまたこの時間でないと見られない光景だ。しかし景色に気を取られている場合ではない。慎重に岩場を下り、時にはトラバースで進んでいく。鎖も設置はされているが、最小限のみ。ここでP1を振り返って見る。所々にペンキマークが付けられているが、あんな急なところを下りてきたのかと驚いてしまう。

次は赤岩岳のピークだ。ちなみに本ルート上には赤岩岳、間ノ岳と名前の付いたピークがあるが、喜作新道や南アルプスのそれとは異なるので間違えないようにしてね。

はるか遠くにはジャンダルムのシルエット。まだまだ先は長い。

  
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右手眼下には上高地。梓川と霞沢岳が見える。

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飛騨側をトラバース。備え付けられた鎖が頼もしい。

  
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今下りてきたP1を振り返る。逆方向はペンキマークがわかりやすい。

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行く手には赤岩岳、その向こうは間ノ岳。はるか遠くはジャンダルムだ。

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かなり東の空が明るい。やはり朝日は吊尾根から昇るようだ。


  
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岩稜のアップダウンを繰り返す。次の目標は目の前の赤岩岳だ。

まだ日の出の時刻ではないが、既にヘッデンは必要なくなっていた。爽やかな早朝の空の中、左手後方には飛騨の名峰笠ヶ岳。その雄大な山を見ると元気が出てくる。昨年の奥穂登頂でも何度も元気をもらった。下りてきたピークを振り返ると、上空には月が出ていた。ここから一登りすると赤岩岳の山頂だ。

山頂はケルンらしきものがあるくらいで、標識やペンキで描かれた形跡もない。ここで改めて周りを見渡してみる。右手眼下には上高地、後方にはようやく尖った西穂高岳の山頂が見えるようになった。
吊尾根がだいぶ明るくなってきた。あと少しで日の出だ。次のピーク、間ノ岳も何とか確認できる。次はザレた岩屑の多い箇所。ピークによって全く異なるのも面白い。

  
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左後方にはお馴染み、飛騨の名峰笠ヶ岳。いつも元気をもらう雄大な山だ。

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下りてきたピークを見上げる。どうやって下りてきたんだ。上空には月。

  
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そしてここから赤岩岳へ一気に登る。

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赤岩岳の山頂。ケルンらしきもの以外は目印は無い。

  
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もう少し明るければ河童橋が見えるかな? ちょっとガスも出てるようだ。

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P1の奥にある尖ったピークが西穂高岳だ。あそこからやってきた。

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もうすぐ吊尾根から太陽が昇る。明るくなるに連れて周辺の山々もはっきりしてきた。次の目標は手前に見える間ノ岳だ。


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