穂高縦走 三日目 ~5年間の集大成~
天狗のコルから天空へ
天狗のコルからは後半戦。ここから一気に高度を上げ、約400m上の畳岩尾根ノ頭へ登る。予定以上のペースでここまで来たため、何とかバテずに登っていきたい。ここでも気を引き締め、再出発。
さすが傾斜も急なのでみるみるうちに高度をかせぐ。振り返るといつの間にか天狗ノ頭が眼下になっている。ジャンダルムが3,163m。まだまだだ。次第に岩がゴロゴロしてくる。こんなにも岩だらけのルートを長時間歩いたのは初めてだ。集中力だけは絶対に切らさないようにペンキマークを追う。
前方から人が下りてくる。どうやら5時頃に山荘を出発したそうだ。この後、同じ時刻に出発したらしく、2人とすれ違う。
「ジャンダルム、絶景ですよ!」
ちょっと楽しみだ。
天狗のコルから畳岩尾根ノ頭に登る。標高差は約400mほどか。
振り返ると天狗ノ頭から下りてきたルートが見える。奥にちょろんと顔を出しているのが天狗ノ頭。
更に登ると西穂高岳から天狗ノ頭まで一望できるぞ。
次第に岩がゴロゴロしてきた。浮き石もあり、登りにくい。
ピークか? いや、違う。時間からしてまだまだのハズ。
浮き石有り、トラバース有り、こんなときこそ集中力を保って!
一気に高度が上がった。さっきまでいた天狗ノ頭が眼下に見える。これだけ西穂高岳からの稜線がキレイに見えるのはここまで。十分満喫しよう。
ペンキマークを辿って登ってきたはずなのだが、行く手にマークが見あたらなくなってきた。しかし先にルートは続いている。ルートはナイフリッジ状で右の信州側は切り立った崖。左の飛騨側は何とか行けそうだ。
ペンキマークに沿ってまだ登る。だんだん腕が疲れてきた。
浮き石に気をつけながらナイフリッジの上を注意して進み、行く手を遮られたらトラバースしていくと、ようやくペンキマークを見つけることができた。こんなところで迷子になったら一大事だ。
ルートは信州側へ巻いている。岩登りも一段落したが、またまたペンキマークを見失う。目指すは畳岩尾根ノ頭。右側に尾根が延びているはずだが・・・。その先はジャンダルム・・・。
すぐにルートを見つけた。ここも奥穂側からの方がペンキマークは見えやすいようである。奥穂からの縦走者がまた下りてきた。どうやらジャンダルムはもうすぐらしい。しかし悪いことにガスが出てきた。
この先ルートを一瞬見失う。ナイフリッジ状の岩屑の上を落ちないように伝っていく。
信州側は崖で無理。飛騨側をトラバースしていくと本ルートに合流した。これで一安心。
独特な形状の溶結凝灰岩。白出沢から見上げたのと同じだ。
視界が広がった。一気に登ったので息が切れてきた。しかしルートは上に続いている。
疲れのせいだろうか、ここでもペンキマークを見落とす。ジャンダルムはいつ見えるんだろう。
すぐにペンキマークに合流。ここも奥穂側からの方がペンキマークは見つけやすい。
目の前は・・・ジャンダルム? いや、全く方向が違う。どうやらここの先が畳岩尾根ノ頭か?
信州側に登山道が巻いているのがわかる。ちょっとガスが出てきたか。西穂からの稜線がだんだんと見えなくなってきた。
ルートは再び岩登り。登山で腕がこんなに疲れたのも初めて。辺りは完全にガスに囲まれてしまった。信州側も飛騨側も切れ立っているのか、尾根が延びているのかわからない。とにかく前方のペンキマークを探しながら岩を伝って行くのみだ。ちょっと傾斜が緩くなってきたか、畳岩尾根ノ頭は既に過ぎてしまったようだ。
どうやら岩場も登り切り、ピークらしき所に到達したようだ。辺りはガスが立ちこめており、ここがどのあたりでこの先に何があるのかすらわからない。ふと見上げると、ガスの中に不気味なピークが浮かんできた。一瞬ゾッとしたが、その正体は・・・。
完全にガスに囲まれた。恐らくこの辺りが畳岩尾根ノ頭。
視界が悪い中、ペンキマークを探しながら岩の上を進む。
傾斜も緩くなり、ピークらしき地点に到達したようだ。
多分コブ尾根ノ頭か。前方に何やら不気味なピークが浮かんできた。一体どこまで来たんだ・・・?