裏銀座縦走 ~裏銀座大縦走~
西鎌尾根と硫黄尾根
辺りはまだ真っ暗。山荘の外に出ると空には星。わずかに風が吹く程度で寒さは感じない。9月も終わろうとしている3,000m超の気候なのだろうかと疑ってしまうほどだ。およそ3時に槍ヶ岳山荘を出発。毎度の如く頭と胸にライトを点けて今日の山行のスタート。
昨日確認しておいたとおり、西鎌尾根へのルートに入る。道はいきなりの急降下。足元をしっかりと確認しながら進む。
たまに眼下にライトが見えている。どうやら槍を目指しているのだろうか、こちらに向かっているようだ。後から方向を確認してみると、このライトはてっきり自分の行く先だと思っていたが、どうやら飛騨沢の方向だったようだ。
しばらく道なりに下りていくと、千丈乗越の指導標。さあ、ここからが本格的な西鎌尾根歩きだ。
深夜に槍ヶ岳山荘を出発。さほど寒さを感じない。
千丈乗越の指導標に到着。ルートはここから北西に続く。
いやいや、辺りが暗いと緊張する。この西鎌尾根は危険な個所は少ないが、たまに出くわす鎖場や滑りやすい急斜面に注意だ。しかしナイトハイクで最も注意しなければいけないのがルートを見失わないこと。下手に谷や沢、戻ることの困難な岩場に迷い込んでしまったら途端にアウト。明るくなるのを待って行動するしかない。
しかしその状況は急に現れた。真っ暗な中、踏み跡に沿って進んでいたのだが、ちょっとした広場に出たところで先を見失ってしまった。15分ほどうろうろしただろうか、何とか右手先に延びていく踏み跡を見つけた。今回はよかったが、次の日はもっと大変な目に遭ってしまう。
急に明るいLEDライトに照らされた。双六小屋から西鎌尾根を登ってきた人だ。かなりの健脚さん。お互い情報交換して別れる。
左俣乗越を過ぎたところから道は登りになる。これまで下りだったし、急登ではないのであまり疲れない。空は明るくなってきた。振り返ると槍ヶ岳。飛騨沢と異なり、西鎌尾根から槍を目指す人は槍を見ながら登るんだね。
左俣乗越。ここから左俣岳に向けて軽く登ることになる。
振り返ると槍ヶ岳。千丈沢からはガスが上ってきている。
いずれガスが尾根を超えるんだろうね。
ここから先はアップダウンが続く。次のピークは硫黄ノ頭。
東の空が明るくなってきた。日が昇るところは大天井岳か。
樅沢岳へと続く縦走路。双六岳や笠ヶ岳には雲が下りてきている。日が昇って気温が上がれば雲も切れるだろう。
硫黄ノ頭から硫黄乗越への途中で振り返る。硫黄沢から硫黄尾根を挟んで千丈沢までもが雲海の中。
硫黄ノ頭を過ぎて硫黄乗越へ向かう途中で東の空がオレンジ色になってきた。眼下は左から硫黄沢、硫黄岳へ続く硫黄尾根、そして千丈沢と雲海の中だ。あいにく槍は雲に隠れてしまっている。
ここで日の出を待っていてもいいけど、予想に反して雲が厚い。ここは歩きながら日の出が見えたら撮影することとしよう。日の出前は立ち止るとどんどん体も冷えてくるしね。
それにしても手前の硫黄尾根、険しいな・・・。
硫黄岳に続く硫黄尾根。先は雲海の中に沈んでいる。
さっきよりはちょっと日が出てきたか。そらもだんだんと赤くなってきている。槍から穂高の稜線はすっかり雲の中。
大天井岳から日が昇る。雲が多いのもまた味わいがあるね。
眩しいほどの日の出はちょっと期待できないね。でもいつもと違うサンライズ。こんな光景もまたいい。お日様は大天井岳のちょっと右手から顔を出すようだ。
ちょっとのんびりしすぎた。次は硫黄乗越。アップダウンがあるから西鎌尾根から槍を目指す人は体力要るね。
ガーミンが硫黄乗越到着の合図をしているが、どうも若干誤差があるようだ。合図のあったところから軽く登って下っていくと硫黄乗越の指導標があった。槍ヶ岳山荘から一気に歩いてきたのでちょっとここでザックを下して小休止。
本日の日の出。これが精一杯。気温が上がれば雲も掃けるだろう。
硫黄乗越に到着。辺りはガスに囲まれてしまった。ここまで一気に歩いてきたのでさすがに疲れたよ。
辺りはガスっていて見通しは悪い。恐らく槍からこちらを見ると、昨日の夕方のようにガスがかかっているのがわかるだろうか。でもガスの隙間からは青空が見えている。
この先まだまだアップダウンは続きそう。まずは樅沢岳へ。そこから双六小屋まで下りていく。まだ今日の行程のプロローグだよ。