表銀座縦走

表銀座縦走 一日目 ~感謝と恩返し~

旅立つ前に

平成から令和へと元号が変わり、年が明けて2020年が始まったとき、誰もが今年はいい年にと思ったことだろう。しかしありとあらゆる期待は打ち崩されるどころか、生活様式が一変してしまうことになる。春には全国に緊急事態宣言で、外出が自粛されることに。もちろん登山も例外でなく、しばらくの間は山は自粛することになった。しかし自分はいい。果たして山小屋はどうなるのだろうか。通年営業の西穂山荘を除き、通常北アの山小屋は早いところでGW頃から営業を開始するのだけど、今年は7月中旬までずれ込むこととなる。また笠ヶ岳山荘のように今年の営業を自粛するところもあった。

こんな中、今年の北ア縦走はどこにしようか? 山小屋はまともに営業できているのだろうか? いや、こんな状況だ。登山をしていていいのか? ありとあらゆる葛藤が渦巻き、出した結論は例年通り山に向かうことにする。ルートはどこにするか? 昨年に剱、立山、薬師を歩いたとき、次は針ノ木~船窪辺りをと考えていたのだが、ここら一体の山小屋はかろうじて営業はしているものの、豪雨のため随所で登山道が崩落して通行止めの箇所ばかり。いろいろ調べてみてもなかなか休みが取れる時期と合わなかったりする。熟考の末、行き先は中房温泉~燕岳~大天井岳~東鎌尾根~槍ヶ岳~上高地、いわゆる鉄板の表銀座縦走コースとした。意外にも表銀座はこれまで歩いたことはない。そもそも燕岳が人気があり、通年めちゃめちゃ混雑すると聞いていたので、この山域は避けていたこともある。今回は平日だし、9月の連休も終わって一段落したことで登山者も少ないことを期待しての選択。

で、山小屋はどうだろうか。さすがに9月中はまだ営業中。しかしルート上の大天井ヒュッテは今シーズンは休業とのこと。でもって一日目は中房温泉からまずは燕山荘へ。燕岳をピストンし、大天井岳の肩にある大天荘で一泊。本当は白沢三股から餓鬼岳経由で歩きたかったのだけど、直前にこちらの登山道が崩落、餓鬼岳小屋の営業が終了となってしまったので、中房温泉からの出発とする。これまたツイてない。
そして二日目はヒュッテ西岳経由で東鎌尾根を登り槍ヶ岳山荘へ。最終日は槍沢から上高地へ下り、バスと電車を乗り継いで中房温泉へと車を回収しに行く。まずは上高地からバスで松本まで出なければならないけど、途中で松本電鉄の新島々駅で電車に乗り換え。でもって松本からは全く本数の無い大糸線で穂高駅まで。ここからが問題。中房温泉行きのバスはあることはあるのだけど、一日5~6本で最終便が14:50分発。このバスに間に合うように逆算すると、暗い中で槍ヶ岳山荘を出発しなければならない。まあ、ナイトハイクはいつものことだし、最終便に乗り遅れたらタクシーという手もあるしね。

更に問題がもう一つ。今回宿泊を予定する大天荘と槍ヶ岳山荘。他の山小屋も同じなのだけど、今シーズンは全面予約制。しかもマスクは必須で、消毒液、体温計、就寝時のシーツも自分で準備しなければならない。マスクはケースと一緒に買ったものの、体温計がどこにも売っていない。かろうじて見つけたものは5分計。ないよりはマシか。消毒液は怪我をした時のためにアルコールジェルと消毒用のウェットテッシュを常備しているので大丈夫。最後に困ったのがシーツ。よくよく調べてみると、持っているシュラフのメーカー、ナンガからインナーシーツが安く売られている。速攻で購入、なんとか入手できた。若干荷物が増えてしまうが、こればかりはしょうがない。
大天荘はウェブから、槍ヶ岳山荘は電話で予約できた。あとは無事にたどり着くことだけ。それはそうと、今の山小屋はどうなっているのだろうか?

予算も限られているので高速道路は使わずにのんびりと下道をN-VANを走らす。ナビはスマホ。これがあれば車載の専用ナビなんていらないな。安曇野に入り、ひたすら小さな車で中房温泉へと向かう。途中から道が細くなり、山道になっていく。左側に「カイザーベルク穂高」の看板。ああ、レッドバロンのリゾートってここだったんだ。
ちょっと進むと、この先の山小屋は要予約とでかでかと書かれた看板が立っている。これも山小屋で宿泊者を制限しているための注意喚起だろう。

  

見通しの悪い細い山道をどんどん登っていき、ようやく中房温泉手前にある町営第一駐車場に到着。週末や祝日、お盆休みはすぐに満車になる駐車場なのだが、車は7割ほど埋まっている程度。日曜日の午後3時には下山して帰宅する人もそれなりにいるということだ。後でわかったのだが、穂高駅からバスで中房温泉まで移動して登る人が意外にも多いらしい。

表銀座縦走

左からマスクケース、マスク、消毒シート、手前は体温計。山小屋泊で必要だ。

表銀座縦走

こちらはシュラフ用インナーシーツ。出発直前に入手できた。


駐車場からちょっと坂を登り、明日の登山口の確認をしておく。バス乗り場のロータリーのところに登山相談所があり、ここの登山ポストに登山届を入れておけばいいようだ。この先が中房温泉。でかい建物かと思ったら小振りな山小屋のような宿だ。燕岳への登山口はこの横の石段の先にある。ここから北アルプス三大急登の一つ、合戦尾根をひたすら登っていく。
明日は早く出発するので、体を休めておこう。N-VANは運転席以外を畳めばフルフラットになり、そこに荷室の形状にピッタリのマットを敷けば豪華なベッドの完成だ。

  
表銀座縦走

ここが中房温泉で燕岳への登山口。登山道は石段の向こうに続いている。左にちらりと見えているのはお手洗い。

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宿の壁にはクマ注意の貼り紙。

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登山道は樹林帯の中へと続いている。

  
表銀座縦走

中房温泉。登山抜きで泊まってみたい。

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登山ポストのある相談所。時間的に誰もいなかったけどね。

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駐車場に戻って体を休めておく。多分寝られないのはいつものこと。


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