剱岳

剱岳一日目 ~早月尾根から別山尾根~

台風一過のはずが

今年の夏は暑い。梅雨が開けたと思ったら思い切り日差しが強くなってきた。さすがにこの暑さで日中もセミも鳴かない日が続き、夜は夜で汗だくで眠れない日が続く。巷はお盆休みでいい天気の中、海に山にと出掛けている。お盆の時期は毎年仕事。電話やメール対応が少ないうちに日頃できないことを片付けておく。
そしてお盆が終わってやれやれ、人も少なくなった山に行こうかとしたところ台風が直撃。仕事や実家の都合もあってなかなか休みが取れず、いつの間にか8月は終わってしまった。

今年の北アルプス縦走はもちろん立山連峰。昨年の9月の終わりに馬場島から早月尾根を登り、まずは剱岳へと出発した途端、天気予報に反して雨の中を歩くことになったが、途中から空がピカッと光り、雷が鳴り出した。何度も何度も稲光を見るとさすがに命の危険を感じ、登山どころではない。登山口から登り始めて1時間ほどだろうか、暗い中を下山。すったもんだで上市駅に戻ることができ、これにてその年の夏山は終わった。

今年もまずは馬場島から剱岳を目指す。問題は前回みたいに途中下山となった場合の駅までの足。でもって今回は馬場島まで車で行くことにする。しかし直前になって大型台風がまたまた直撃。ここは台風一過の荒天を期待し、出発の準備をする。

  

休暇も取れて万事OK。今回の台風は昼間に通過。仕事の合間に外を見るととんでもない雨風だ。帰宅する頃には雨はおさまったが、まだ風が強い。明日はゆっくり起きて馬場島へと車を走らせる。何とか3日間天気がもってくれることを期待して。

今年の台風は雨と雲を残していくようだ。湿った空気の中をひたすら走り、馬場島に到着。あれだけの雨と風だったのに、上市駅から馬場島までの道は大丈夫だった(あとから聞いたのだが、大木が道を塞いでおり、自分が通るときは既に撤去されていたようだ)。

剱岳

ここは馬場島野営場でもあり、周辺案内の看板が立っている。

  

今日の馬場島はひっそりとしている。自分のほか車が2台。まずは駐車場に車を停めて登山口までの散策。ここ馬場島の標高は思った以上に高くはなく、約780m程度なのだが辺りの空気は涼しい。
明日はここから標高差2,200mを一気に登る。果たして大丈夫だろうか?

剱岳

土日祝日は車で一杯になる駐車場も今日はひっそり。ようやくスタート地点に来た。

  
剱岳

登山口に向かって歩いていくと、まずは池の谷、小窓尾根、赤谷山への分岐に差し掛かる。

剱岳

大窓、小窓、池の谷、赤谷。この地名だけでもワクワク。

  
剱岳

仰剱岳の碑。立命館大学山岳部遭難者の慰霊碑だ。1959年に剱岳西面剱岳西面池ノ谷で遭難死した6名を慰霊して建立されたらしい。

剱岳

アスファルトがちょっと広がったところの先が早月尾根への登山口。明日はここから入山する。

  
剱岳

「劔岳 早月尾根を経て」の石碑。

剱岳

先に進むと別の石碑と祠が見えてくる。

剱岳

これが有名な「試練と憧れ」の碑。試練を克服し、憧れの山頂へ。


  
剱岳

登山口手前には多くの石碑があり、その一つ、「劔岳の諭」には以下のように刻まれている

(原文のまま)
劔岳の諭

剱岳

「剱岳に祈る」と刻まれた石碑。「剱岳」には「やま」のルビ。

剱岳

石碑の横には観音様。登山の安全を祈る。

一、劔岳は岩と雪の殿堂である 人身とも鍛錬された人々よ来れ
一、気象は激しく変動する 冷静沈着な行動に徹せよ
一、掟は厳しい力と勇気をもって苦難に挑め
一、自然は生命を躍動させる無垢な姿をとこしえに
一、山に寄せる心のたかまり 劔岳は逞しさと豊かさを育くむ
 一九七五年一〇月一二日 立山ライオンズクラブ

  
剱岳

剱岳

ここが早月尾根登山口。標高2,200mの早月小屋まで約5.4kmで約1,440mの標高差を一気に登る。

早月小屋から剱岳頂上までは約2.9km。標高差は約800m。山頂までの標高差は2,240mほどだけど、累積となるともっとあるだろうね。
ほんとに大丈夫かな? 心配になってきた。

  
剱岳

登山口の確認完了。ちょっと戻ってきた。

剱岳

登山口手前にあったのは劔岳鎮魂の社だ。

剱岳

鎮魂の碑だろうか、近くの石碑の裏には以下のように刻まれている。

(原文のまま)
遠き神代の昔より変る事無き山の峰
万古の雪を湛えて繁吹に岩を咬む状を現世に残す中部山岳国立公園劔岳の山々渓々
苦難に打ち克ち渓を渉り山を攀りし 敢えなくも事成し得ず此の山渓に眠る若人を偲べば実に痛恨の極み
而れども其の髙き志を御名と共に千万世まで残し伝えんと之の社殿に納め奉り神鎮りまして 後に続く山岳人達の平穏を天翔り国翔り守り給え
憧れる心に試練があり 試練を超えてその道を歩き続けん
私達は自然の中に生き抜く山岳人の安全と散華した御霊安らかれとの願をこめて之を記す
昭和五十年十月五日
 上市ライオンズクラブ
  会長 橋本信夫
  施工 浜田文二
  書 吉田帰雲


  

馬場島から見る剱岳。街中から見る独特の形とはちょっと異なるけど、山頂まで続く早月尾根が間近で見られる。その右奥には剱御前。
駐車場に戻り馬場島荘を覗くと、何と臨時休業。どうりで静かな訳だ。

先に登山届を出して車内で軽く仮眠としよう。眠れるかな?

  
剱岳

駐車場に戻る。静かな馬場島。

剱岳

台風のためかと思ったら買い出しのためらしい。

剱岳

登山届をポストに入れておく。無事下山届を出せますように。


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