栂海新道

栂海新道二日目 ~日本海への旅路~

日本海へ

  
栂海新道

朝日小屋には2回とも大変お世話になった。また来よう。

時刻は0時を過ぎたところ。出発の準備をして部屋から出て小屋の入り口で待機。山を歩く時は出発の一時間前には心身ともに起きるようにしている。たまに同部屋の人がトイレに行く時に「頑張ってください」「気をつけて」と静かに声を掛けてくれる。

余裕を持って1時前に出発。小屋に一礼してまずは朝日岳山頂へ。まずは1時間ほど登り、山頂から吹上のコルへ下らなければならない。そこから日本海へ向けての一人だけの長い長い旅が始まる。

  
栂海新道

これで今シーズン4度目の朝日岳山頂。ここもいつかまた訪れることだろう。

栂海新道

順調に約1時間ほどで朝日岳山頂に到着。そして吹上のコルに向けて下っていく。真っ暗だけどここを歩くのは3度目。ルートの状態は頭の中に入っている。

そして遂に栂海新道の起点、吹上のコルに到着。ここから先は未踏の道だ。山でこんなドキドキしたのは初めてかもしれない。

  
栂海新道

山頂から吹上のコルにやってきた。

栂海新道

ここから先、栂海新道に入る。期待と不安が交錯。

栂海新道

「栂海新道を経て親不知日本海へ」と打ち抜かれた鉄板の案内板。


起点には鉄板に

吹上のコル
栂海新道を経て親不知日本海へ
さわがに山岳会

と文字が打ち抜かれた案内板が立っている。そして目の前の岩には赤いペンキで「→日本海」。そう、まさにここが日本海へ向かうスタート地点だ。岩を乗り越えていざ、出発。
しばらくは木が張り出した狭い登山道を緩く登ったり下りたりしていく。しかし基本は下り。みるみるうちに標高が下がっていくようだ。途端に視界が開け、登山道は草原を歩くように延びている。ここからの眺めに絶句してしまう。とはいっても今は真っ暗。そんな中でどうして絶句かというと・・・登山道右手の眼下には月に照らされた照葉ノ池(てるはのいけ)が広がっている。下弦を過ぎたばかりの月はまだ明るい。その月が水面に映っていて何とも幻想的な光景だ。なんとか写真撮りたかったけど、シャッター速度遅くせねばならず、固定もできないので敢えなく断念。この光景は自分の頭の中にだけ記憶させておいた。ここは昼間歩いても素晴らしい景色だろう。しかしたまたま月が照らした夜の池の姿も素晴らしい。

道は木道に変わり、平坦な湿地帯の中を歩く。途中に点在する池塘からアヤメ平の看板を過ぎると、木道は切れて急な下りとなった。この辺りは湿地帯ということもあり、随所で道がぬかるんでいる。既に靴は泥だらけ。このような登山道では滑らないように注意するのだが、迂闊にも一瞬足を取られて転んでしまった。幸いにも転ぶのを想定していたせいかケガは無し。そのまま歩き出す。

  

と、そこで頭に手をやるとサングラスがない!! 転んだところで落ちてしまったのか。まあ、安物なのでそのまま先へ進もうかと一瞬思ったけど、これまでいつも一緒に山に登ってきた相棒だ。転んた地点まで引き返す。そしてサングラスはすぐに見つかった。やはり転んだ時に外れてしまったようだ。再度気を引き締めて歩き出す。

ぬかるみの中をどのくらい長く下っただろうか、道はまた平坦になってきた。今度は黒岩平の標識が現れた。かなり長い間湿地帯の中を歩いている。ようやく空が明るくなってきた。そろそろ夜が明ける頃。

栂海新道

岩に書かれた「日本海」。本当にたどり着けるのか?

  
栂海新道

湿地帯に木道が続く。ここは明るい時に歩いてみたいね。

栂海新道

所々に池塘も現れる。木道から外れないように。

栂海新道

アヤメ平の標識。湿地帯周辺はぬかるんでいて泥で足下が汚れ放題。

  
栂海新道

黒岩平の標識。湿地帯だけあって水は豊富。

栂海新道

ようやく空が赤みを帯びてきた。そろそろ夜明け。


  

途中で沢を横断するところでここでも水をいただく。辺りが明るくなり延々と湿地帯の中を歩いていく。見上げると薄っすらと明るくなった空に妙高の山々が連なっているのが見えている。なんていい景色なんだろう。

  
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湿地帯の中に続く木道を一人歩く。

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一番右が妙高山。日の出前の素敵なひと時。


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