奥穂高岳

奥穂高岳 ~白出の魔女が笑っていた~

またまた深夜の奥穂への道

今年の夏はどうも気温も天気も不安定のようだ。昨年のちょうどこの頃に槍ヶ岳日帰りピストンを敢行した。今読み返してみても、あの体力の無さでよく往復できたものだ。実は昨年の当初は奥穂高岳を目標としていた。それがなぜか一転して槍ヶ岳に。確かに地図を見ると新穂高からは直線距離で奥穂高岳の方が近いし、順番にステップアップするなら奥穂高岳→槍ヶ岳の順番だろうと勝手に思いこんでいた。
自分は健脚ではない。槍ヶ岳のレポでも書いたように、日帰りに関しても全くこだわりはない。今回はコースタイムは槍ヶ岳とほぼ同等。しかしルートを調べれば調べるほどかなり厳しいコースであることがわかってきた。

ルートは昨年と同様に新穂高から右俣林道を歩き、白出沢出合手前の登山口から登っていく。その先で沢を横切る訳だが、重太郎橋が台風で流されていたらアウトである。またその先の岩切道も切り立った岩のトラバースでかなり危険らしい。その先の荷継沢から穂高岳山荘のある白出のコルまでは浮き石がゴロゴロした直登。果たして山頂まで行き、戻ってこれるのだろうか?
ネットで調べてみるが、ヤマレコなどのレポは健脚自慢ばかりでコースタイムは参考にならない。とりあえずは標準タイムを参考に、明るいうちに新穂高に戻ってくることを目的として計画してみよう。問題は出発時間。まだ暗いうちに重太郎橋から岩切道を進むのは極めて危険のようだ。なら日の出の時間に重太郎橋に到着するように逆算してみる。今の季節で晴れなら朝5時頃で辺りは明るくなってくるはずだ。なら新穂高を深夜1時半でいいだろう。

他にもいろいろ調べ、検討してみた。

(1)水と食料は十分に持っていく。昨年の槍では水に苦労した。
(2)昨年の槍のルートのように、白出のコルまで山荘はない。いざというときのビバークのための準備をしておく。
(3)白出沢の雪渓は小さくなり、アイゼン無しでも大丈夫な模様。鉱石沢は荒れているので注意とのこと。
(4)白出沢の直登はとにかくキツイらしい。マイペースで無理せず登ること。

  
奥穂高岳

上宝道の駅に前のり。穂高方面には台風が残したであろうか、雲がかかっている。

昨日まで南紀一帯に被害をもたらした台風12号は北へ去ったが、台風の残した雲が山にかかっている。念には念を入れ、登頂日も一日ずらした。

上宝の道の駅で仮眠を取ろうと思った訳だが、意外にも気温が急に低くなり、ほとんど寝付くことができなかった。0時前に蒲田川沿いの無料駐車場に行くが、何と平日にもかかわらずほぼ満車だ。何とか空きスペースに停めることができたが、これから入ってくる人たちは停めるところは無いよ・・・
実際に出発するときに2台くらい入ってきたけど、空いているところを教えてあげた。しかしこれにて満車。これも登山ブームのせいなのかなぁ。

  
奥穂高岳

深夜の新穂高。さすがにこんな時間に出発する人はいない。

奥穂高岳

登山届は必ず提出。無事に帰ってくることが第一。

奥穂高岳

ロープウェイ駅を過ぎ、いざ出発。ナイトハイクはやはり緊張する。


登山指導センターで登山届を提出する。昨年同様、事故の記録に目を通す。今年は登山ブームのせいもあり、北アルプスで事故が多発しているという。最近ではザイテングラードで祖父と孫が滑落して死亡している。また西穂のピラミッドピークでも滑落事故が多発しているようだ。今回のルートでは、アイゼン無しで白出沢の雪渓を登り、100mほど滑落した人がいたそうだ。とにかく事故の無いように、無理することの無いように心掛けよう。
ロープウェイの駅を過ぎ、鎖のゲートから右俣林道が始まる。LEDのヘッデンと手元のハロゲンライトで道を照らしながら進む。電池のスペアがあっても、真っ暗な中、電池を交換するのは無理。だから照明は必ず複数持つ。昨年とちょっと様子が違うな、と思ったのは、道がキレイに整備されており、所々コンクリートで舗装されているのだ。歩きやすいのに越したことはない。

ナイトハイクは昨年も経験しているので、さほど恐怖感はない。1時間ほど歩くと穂高平山荘に到着した。いくら林道とはいえ、登山口までは緩やかな登りとなっている。ここで余分な体力を使う訳にはいかないので、はやる気持ちを抑えながら先へ先へと進む。柳谷の沢を渡り、更に進むと右手に奥穂高岳登山口の標識が見えてきた。昨年はこの先にある暗闇の中の白出沢に仰天したっけ。さあ、登山はここからだ。

  
奥穂高岳

奥穂高岳登山口が見えてきた。昨年はここを真っ直ぐ行き、白出沢を渡って槍ヶ岳を目指した。

かつてここには白出小屋があったようだが、今は撤去されている。登山口の広場には数台の工事関係者らしき車が停めてあった。
ちょっとここで小休止。息を整え、登山口に向かう。ここからは更に気持ちを引き締めて。

奥穂高岳

奥穂高岳登山口の標識。深夜なのですげー緊張する。単独のナイトハイクはするもんじゃない。


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