後立山縦走

後立山縦走四日目 ~後立山最終章~

白馬から北の果て

今日は縦走最終日。白馬岳から最北の雪倉岳に登り、そこからUターン、途中から栂池に下りていくというイレギュラーなコース。でもって歩く距離はこの四日間で一番長い。白馬鑓ヶ岳から栂池まではひたすら下りだけど、今日は車のある扇沢まで戻らなくてはならない。ゴンドラで下界に下り、栂池高原から13時発の白馬駅行きのバスに乗る必要がある。そのため余裕を持って出発時間を早くする。順調にいって雪倉岳山頂はまだ日の出前だけど、これは仕方ないね。

いろいろ考え、結局宿舎を出発したのは深夜0時40分。これまでと違うのは相変わらずガスが立ち込めて見通しが悪いということ。ヘッデンを点けて歩きだす。頂上宿舎からメインルートに合流、白馬岳に向けて進む。登山道は両側が緑のロープが張ってあるので迷うことはない。間もなく白馬山荘に着く。ここは大きな山小屋だ。

ここはスルーして先に進む。広い斜面に薄っすらと踏み跡が続いている。ひたすら登っていくと、急に目の前に大きなレリーフ。白馬山荘創始者の松沢貞逸 翁のレリーフだ。ここから先へ・・・と思ったら、あれ? 道がなくなっている。急いで引き返してルートを探すが見当たらない。何度もレリーフまで戻り、下ってルートを探すことを繰り返す。埒が明かないので、ザックから地図を取り出して確認。詳細な地図を見てみると、登山道はレリーフの左側に延びている模様。慎重に歩いていくと、先に続くルートを見つけた。
「え~? どうしてこんなところで・・・?」と思われるかもしれないが、辺りは真っ暗且つガスの中。ちょっとしたことでロストしてしまうことはこれまでも何度か経験している。

かなり時間をロスしてしまったが、白馬岳山頂の標識が見えてきた。写真で見たとおり、立派な三角点と大きな方位盤が設置された山頂だ。未だ辺りはガスまみれ。ここは写真を撮っただけですぐに先に進む。これで白馬三山全て歩いたぞ。

  
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宿舎に一礼。今日が最終日だ。

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白馬山荘を通り過ぎる。山の中のホテルのよう。

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松沢貞逸 翁のレリーフ。この後、道をロストしてしまう。

  
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すったもんだで白馬岳山頂に着いた。予定よりも倍の時間がかかってしまった。標高は2932.24m。これで白馬三山コンプリート。機会があれば明るい時にまた訪れたいね。

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点名はそのまま「白馬岳」。立派な一等三角点だ。

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名物の山頂方位盤。御来光の写真に必ず写っている。


辺りのガスは相変わらず。白馬岳山頂から更に北へと登山道を下りていく。この先は「馬の背」と呼ばれる痩せた道が続く。真っ暗であまり周囲が見えないが、たまに右や左をヘッデンで照らすと切れ落ちてはいないが痩せ尾根だということは実感できる。危険な箇所はロープが張ってあるのでわかりやすい。

たまに現れるペンキマークを確認しながらひたすら下っていくと、山頂から30分も経たないうちに三国境に到着。ここは字の如く、長野県(信州)、富山県(越中)、新潟県(越後)の三県の県境が交わるところ。
ここからは雪倉岳を経て朝日岳方面と小蓮華山を経て白馬大池に至る道に分かれる。まずは雪倉岳を目指して左へ。

三国境から岩屑の急な坂を下っていく。帰りはここを登り返すのかと思うとちょっと心配だ。次第に登山道は緩やかになり、若干下っているだろうか、平坦な道を下っていく。その後は軽くアップダウンを繰り返すが、標高が下がったせいか、いつの間にかガスは晴れて星空が見えている。左手遠くに黒部の街灯りも見えだした。三国境から30分ほどで蓮華温泉に至る鉱山道分岐に差し掛かる。かつてはこの先に精錬所があった古い道だ。
知らず知らずのうちに時間が経っている。この先バテないように立ったまま小休止。ヘッデンを消してみると満天の星空。すると一瞬だが三回ほど流れ星も見えた。

  

三国境からひたすら歩くこと1時間20分。雪倉岳避難小屋の白い建物が見えてきた。思った以上に大きな建物だ。

ここからは雪倉岳山頂に向けて登っていく。時刻は3時をちょっと過ぎたくらい。ちょっと疲れたけどあと少し。

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ここが三国境。三県が交わるところだ。

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鉱山道分岐に差し掛かる。

  
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目の前に雪倉岳避難小屋。そこそこ大きな建物だ。

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古いが立派な避難小屋のプレート

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真っ暗だがここから雪倉岳山頂に向かって最後の登り。


とはいっても登りきったところから更に登山道はさらに先へ続いている。ちょっと平坦な所を進み、更に登り。途中で灌木帯に入ってしまった。すぐに戻って本ルートを見つける。よく歩かれている朝日岳への縦走路であんな所はないはず。しかし辺りが真っ暗で疲れも溜まってくると判断力も徐々に低下してくる。

真っ暗な中、わずかに見える標識。その向こうに更なるピークは見えない。ようやく、ようやくこの旅の最北、雪倉岳山頂に着いた。これまでの山頂とは異なり、立派な黒御影石で作られた頂上標識がある。

  

KUMAクンの西穂独標ではないが、ポールを標識に置いて息を大きく吸った後、無意識に両手を夜空に突き上げた。四日前、扇沢を出発し、北へ北へと縦走し、遂に今回の最北地、雪倉岳山頂に着いた。高妻山からの北アルプス一望の写真で一番右端に写っていた山。
頭の中では暗闇に両手を上げて山頂に立つ自分の姿が別のカメラで撮影したかのように映し出される。

標高は2,763.37m。三等三角点の点名は何と「六兵衛」。ちなみに「雪倉」の点名は朝日岳にあるそうな。
近くにはもう一本石柱が放置されている。古い三角点なのだろうか。

辺りを見渡すも、当然のことながら真っ暗なのでヘッデンが照らすもの以外は何も見えない。

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この旅の目標、四日かけて最北の雪倉岳山頂に着いた。国内の山ではここより北に高い山は存在しない。黒御影石でできた頂上標識には「環境庁・富山県」と刻まれている。地図上では新潟県糸魚川市と富山県朝日町の県境上にある。

  
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頂上標識の横に三等三角点。

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近くには掘り出された石柱。

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頂上の近くに立っている朽ち果てた古い指導標。

  
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朝日岳に続くルート。またいつか来よう。山はいつでも待っていてくれる。

この先、登山道は朝日岳へと続く。とても残念だが、今回はここまで。ここから三国境まで来た道を戻り、栂池へと下山いていく。ここで御来光をと予定していたが、帰りの時間も余裕がほしい。

名残惜しいが、山頂を後にして下山する。


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