中央アルプス周回

中央アルプス周回 ~まだ終わらんよ~

中アを駆ける

  

息を整えて赤い屋根に向けて下っていく。すぐに辺りは樹林帯に包まれていく。なんだろう、主稜線から外れたせいか、高度が低くなっていくせいか、若しくはお昼過ぎたからだろうか、だんだんと気温が上がってきた。もしかしたら木々に囲まれて風が通りにくくなったからかもしれない。

  
中央アルプス周回

眼下に見える越百小屋の赤い建物。その先は・・・登り返すのかなぁ・・・。

なんとかバテないようにマイペースでジグザグの中を下っていく。下りも長丁場。スタミナを削るばかりか、膝にも負担がくるね。
順調に下っていくと道は平坦になってきた。そろそろ避難小屋だろう。と、目の前に赤い建物。避難小屋に着いた。山頂から一気に下り、汗もかいてきたのでここでちょっと休憩しようと思ったのだが・・・。

  
中央アルプス周回

越百小屋に到着。赤と黒の派手な小屋だ。

中央アルプス周回

どうやら宴会が始まるよう。騒がしいのは苦手だ。

避難小屋には多くの人、人、人。どうやら宴会が始まるらしい。こんな騒がしいところで、しかも座るところもなく隅っこで休憩するのも余計に疲れるだけ。ここはそそくさと退散。
登山道を塞ぐように座っている女性に通してもらうよう頼んで避難小屋を後にする。ここから予想したとおり、登り返しが始まる。ただ地図で確認してもそれはわずかなはず。


  

小屋から離れたところでザックを下ろして休憩。木々の中とはいえ、日陰にいないと暑い。主稜線を歩いていた時とは大違いだ。これじゃ下界はどれだけの猛暑だろう。
登りは一時だけ。あとはひたすら踏み跡に沿って下っていくのみだ。しかし・・・所々にある指導標はいずれも消えかかっていて、今どのあたりかわからない。もう地図で確認することも面倒になってきたので、ひたすら歩く。2リットルのキャメルバックの水がそろそろ残り少なくなってきた。
避難小屋から歩くこと2時間半。だんだんと沢の音が大きくなり、砂防ダムに出た。この先草の伸びた道を歩くと林道に面した登山口、福栃平だ。ようやく林道まで来たよ。

中央アルプス周回

随所に見られる崩落地。やはり地質は脆い。

  
中央アルプス周回

水場への分岐。水は予備もあるのでパス。

中央アルプス周回

標識が壊れているが、恐らく下のコル。途中で上のコルやオコジョ平があったはずだが。

中央アルプス周回

砂防ダムの横を下りていく。

  
中央アルプス周回

草むらの向こうに林道が見えてきた。

中央アルプス周回

暗いとちょっとわからなかったかもしれない。ここが越百山への登山口、福栃平。よく頑張ったぜ。


  

登山口には一人の男性がいる。よくよく見ると南駒ヶ岳で会った人だ。そして林道の向こう側から歩いてきた人も、南駒から北沢尾根を下っていった人。どうやら時間的には南駒ヶ岳から北沢尾根を下るのと越百山から下るのではあまり変わらないようだ。

  

水分補給してあと約1時間の林道歩き。この分なら余裕で明るいうちに戻れそうだ。しかし今日はとにかく歩きまくっている。それに加えてこの暑さ。やはり下界は暑かった。平坦な林道歩きなのだがかなりシンドいぞ。
歩くこと30分ちょっと。林道横に車が停まっている。と、そこが出発点だった。意外にも予想以上に早く到着。

中央アルプス周回

ここは標高1,310mの三合目らしい。

中央アルプス周回

登山口のある福栃橋。後は林道歩きのみ。

  
中央アルプス周回

今日の0時に出発したところだ。早く着いたぞ。

中央アルプス周回

この橋を渡れば駐車場。

中央アルプス周回

作業中なのか、ゲートが開いている。

  
中央アルプス周回

何と駐車場は一杯。迷惑な停め方はやめようね。

中央アルプス周回

歩きに歩くこと17時間。無事帰ってきたよ。

中央アルプス周回

いや~疲れた疲れた。死ななくてよかった。(笑)


  

一年ぶりのナイトハイクに始まり、17時間ぶっ通しにわたる山行が終わった。これまで黒部五郎岳ピストンや雲ノ平~水晶岳~一気に新穂高などロングハイクは何回かやってきたが、単純に比較はできないが時間的には今回が最も長く歩いた山行だと思う。しかし越百山からはほとんど下りのみばかりだったためだろうか、黒部五郎岳のようなフラフラ感はない(あれは本当にシンドかった)。
体力がない中、あまり無理することもできないが、やはりソロでの山行は計画からきちんと立てていかないといけないし、山歩きの途中でも体力、技術、天気などと相談しながら歩かないといけない。更には道迷い、転倒、滑落、獣やヘビ・ハチの襲撃など様々な危険が一杯だ。事故があったらできる限りの対処法も頭に入れ、次に何をするべきか判断力も問われる。
はっきり言って何が楽しいのかと聞かれると、登山なんて楽しくないよと言わざるをえない。ただその中でほんのちょっぴり、景色が抜群だったとか、いつもの不味いご飯が美味しかったとか、楽しいことがちょっとだけあれば後は苦しくてもいい。
苦しみは乗り越えるため。山は勉強の場。別に山頂に立てなくても、別に途中でパンクしても何かを得て帰ってくればそれでいい。その後どう活かすかは本人次第だ。
今日も無事に下山した。いつも山に入るときには山の神様に一礼。次の山行も無理せず気合入れてザックを担ぐ。

  

【後日談】
アッちゃんの言葉に反して死にはしなかったけど、次の日鏡を見ると首元になにか付いている。よくよく見てみるとマダニが首元に噛み付いているではないか! 急いで休日診療してもらえる病院を探し、何とか取ってもらえた。ここで怖いのが感染症。一説によれば宝くじ当たるよりも確立は低いと言われてるけど、こういったマイナスの面に限ってはなぜかよく当たってしまう。念のため抗生物質10日分をもらい、飲みきった後も症状は何も出ていないので事なきを得たのだろうけど、やっぱこの山域はマダニに注意。恐らく暗い中のヤブ漕ぎでやられちゃったんだろうな。
皆さんも注意してね。

中央アルプス周回

途中で見かけたヤマホタルブクロ。最近良く出会う。


  1. 地図
  2. 1
  3. 2
  4. 3
  5. 4
  6. 5
  7. 6
  8. 7
  9. 8

このページの上に戻る