中央アルプス周回

中央アルプス周回 ~まだ終わらんよ~

夏山始まる

  

「死にますよ・・・。」とはアッちゃんの一言。
中央アルプスは北アルプス、南アルプスと比べて3,000m級の山は無くちょっと見劣りすると感じる人もいるだろう。しかも国立公園に指定されていないことからか、人の手が入りすぎている山という雰囲気も少なからずも感じられる。まあ、そんなことはどうでもいい。中アは最高峰の木曽駒ヶ岳では残雪を楽しみ、同様に人気のある空木岳には一昨年に登った。ちょっと南に離れた恵那山、大川入山を除けばそれっきり。何度も書いたが、近場の里山の各務原アルプスから山並みが一番きれいに見えるのはこの中央アルプスだ。
で、この中央アルプス、アプローチは思った以上に限られ、縦走する場合は途中でパンクした際のエスケープルートや山荘、避難小屋といった施設を頭に入れて計画しておかないと大変なことになる(この山域に限ったことではないが)。でもって地図とにらめっこしていると、木曽側の伊奈川ダムから林道を歩き、越百山~仙涯嶺~南駒ヶ岳~赤梛岳~空木岳と縦走して下山、林道を更に歩いて伊奈川ダムに戻ってこられる。いわゆる「中ア周回」だ。
しかしコースタイムを計算すると実に18~19時間・・・。こりゃ黒部五郎岳ピストンの比じゃないな・・・と思いつつもアッちゃんにこの山行計画を伝えると、前述の一言。そりゃそうだよね。いつもの如く0時にスタートしたとしても暗くなる前に帰ってこられるかどうか。しかも長丁場のアップダウンで休憩時間も考えると鈍脚の自分では帰ってこられるとしても暗くなった後だろう。でも何とか最後の林道に明るいうちに下りてくることができれば何とかいけるかもしれない。途中での調子を見て南駒ヶ岳からエスケープしてもいい。
ここのところの天気は猛暑日続き。十分な装備とパンクした時の対処法を何パターンか頭に入れ、アッちゃん曰く、「死ぬかもしれない」夏山が始まる。

  
中央アルプス周回

各務原アルプスから見る今回歩く稜線。雄大な南駒ヶ岳、ギザギザの仙涯嶺など楽しみは多いが、無事周回して元に戻れるだろうか?


  

まだ夏休みどころか休暇もここのところほとんど取っていなかったため、前日に休みを取るのは問題なし(しかし仕事は溜まる)。国道19号を走り、まずは道の駅大桑へ。ここで今回のコースのおさらい。伊奈川ダムから越百山~仙涯嶺~南駒ヶ岳へ。この時点で時間を要するならすぐさま北沢尾根へエスケープ、下山する。時間、体力共に余裕があれば赤梛岳、空木岳と縦走。木曽殿越に下りて下山する。改めてシミュレーションすると、コースタイムは左回りよりも右回りのほうが短い。右回りは最初の林道歩きが長く、空木岳への登りがキツイ反面、最高峰からの下りになる。ここは直前で右回りのルートに変更。これが結果として吉と出た。

  

車で仮眠しようともここのところの猛暑で寝ることは不可能。ここは潔く伊奈川ダムに向かう。細い山道をひたすら走り、ダムを過ぎて更に進んでいくと左手に広いスペースがある。ここが登山口の駐車スペース。確かに登山届けを入れるボックスがある。駐車場には数台の車が停まっているが、時間的に既に山に入っているのだろう。
ここでちょっくら下見。出発は真っ暗だから万が一のこともあるからね。駐車場から数十メートル歩くとすぐに一般車通行止めのゲートだ。ゲートの横を抜けるとすぐにT字路。左は空木岳登山口へ、右は越百山登山口に至る。今回は左へ。立っている指導標を見ると、空木岳まで8時間。しかもそこから倍以上歩かなくてはならない。夕食食べて一眠りすることにしよう。

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駐車場はガラガラ。これから混んでくるだろう。

  
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駐車場にある登山届ボックス。一応ここが登山口。

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ちょっと下見。すぐに現れる一般車通行禁止のゲート。ここは右側をスルー。

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今朝沢林道。こちらは越百山登山口へ。今回は帰路になる。<

  
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そしてこちらは空木岳登山口へ。今回はこちらから出発。

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指導標には空木岳まで8時間らしい。そりゃ一気に最高峰だもんね。

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天気は何とか良さそうだ。雨が降る気配はなし。


  

思えばほぼ一年ぶりのナイトハイク。案の定一睡もできずに出発前の準備。特に寒くもなし。沢の音だけが聞こえてくる。登山届をボックスに入れ、ジャスト0時にヘッデンを点けて出発。まずは1時間半ほど林道をひたすら歩く。時間的には新穂高から白出沢出合まで歩くのよりはまだましと考えよう。

  

ここで怖いのは獣との遭遇。そういえば駐車場には所々に鹿の糞もあったな。熊鈴を鳴らし、たまに声を出しながらひたすら真っ暗な林道を歩く。
途中で洗い越しを渡りながら歩くこと1時間10分。そろそろかなと思ったところで金沢土場の看板だ。真っすぐ行けばJR倉本駅だが、ここは右折してうさぎ平へ。しばらく道なりに歩いていくが、果たしてこちらでいいのか?
真っ暗な中ちょっと不安になり、地図とGPSで確かめる。歩いてきた道は間違いではなかった。さほど気にする必要はなく、再度進むと間もなく目の前にちょっとした広場とうさぎ平の看板が現れた。やはり真っ暗な中の行動は気をつけねば。ここから空木岳へ登山道は延びていく。

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登山届を提出。明るいうちに戻ってこられるかな?

  
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夕方にチェックした指導標。まずは林道歩き。

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一気に本日の最高峰まで登る。8時間の長丁場。

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1時間ちょいで金沢土場に到着。ここからうさぎ平へ。

  
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ミスコースしたかと一瞬ビビったけど、無事にうさぎ平。

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JRを使う場合は倉本駅から歩くしかない。

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空木岳登山道はここから山の中。気合入れて登る。


  

うさぎ平からは本格的な登山になる。山の中に入るといきなりの急登だ。年明けに痛めた右膝の靭帯も完全ではないのでとにかく負担がかからないように一歩一歩確実に登っていく。唯一助かるのは笹が刈り取られていること。
息を切らしながら急登を登り切ったと思ったら今度は急な下り。しかも先程まで綺麗に刈り取られていた笹も道を隠すようになってきた。ここはルートを見落とさないようにひたすら笹を漕ぐ。ふと頭によぎるのがこの山域によく見られるマダニなのだが、今はそんなことは言ってられない。

  
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沢の音が大きくなり、北沢に差し掛かった。足元は水が流れている。

更に悪いことに、接触が悪いのか、LEDが寿命なのか、ヘッデンが暗くなったり一瞬点かなくなったりしてきた。しかしもう一本予備のライトは持っているので慌てることなく先へ進む。無事帰ったら買い替えかなぁ・・・。
先程から聞こえている沢の音が大きくなってきた。足元に水が流れている。ここは北沢。そしてこの先には吊橋があるはず。よく吊橋が流されていることを聞くが、今日は無事に架けられていた。
北沢を過ぎるとまたもやきつい登り。ひたすら登っていくと仙人の泉の看板だ。どうやら水場のようだが特に休むこともなく先へ。登山道は植林帯の中をジグザグに登るようになってくる。まだ日の出の時刻には早いが、辺りは薄っすらと明るくなってきた。

  
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吊橋は流されることなく架かっている。一安心。

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仙人の泉。水場だけど水はまだまだ十分。

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ちょっぴり明るくなってきた。植林帯の中を登っていく。

  
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植林帯をひたすら登っていくとようやく八合目の道標。見通しは悪いが、ここで小休止。5時をちょっと過ぎたところなので、既に日の出時刻は過ぎている。

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足元にはゴゼンタチバナの花。まだまだ花を楽しむ余裕はあるが、うさぎ平から急登を登ったと思ったら北沢まで下り、そこから再度の激登り。周りは何とも味気ない植林帯。やはり主稜線に出ないと景色は楽しめないだろう。
八合目からは若干だが傾斜も緩くなってくる。鳥達も目を覚ましたようで、暑くもなく寒くもなく心地いいコンディションだ。
まずは最初のポイント、木曽殿山荘のある木曽殿越へ。

  
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ぽつんと生えていたギンリョウソウ。ユウレイタケとはよく言ったもんだ。

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道は緩くなってきた。疲れた体にはホッと一息。

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そろそろ植林帯の中も飽きてきた・・・。


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