西穂独標

西穂独標 ~北アルプスへラーメンを食べに行く

KUMAクン独標に立つ

  

丸山を出発してしばらく登っていくとハイマツが少なくなると同時に足元は土から岩屑の道になってきた。天候は更に悪化していく。ここからは独標、ピラミッドピーク、そしてその奥に西穂高岳がキレイに見えるはずなのに相変わらず辺りはガスで真っ白。しかも左側の谷から突風が吹き上がってくる。

  

間もなく風の中に雨粒が混じってきた。足元の石が濡れ始めている。いつもならもうちょっと先で、と思うのだが、ここはすぐにレインウェアを着るようにKUMAクンに告げる。
雨は小康状態になったり粒が大きくなったり。二人ともレインを着て再出発。KUMAクンはヘルメットも装着。相変わらず誰も来ないし誰も下りてこない。

西穂独標

足元は土の道から岩屑になってきた。足を取られて歩きにくくなる。

西穂独標

辺りは真っ白。谷からの風はだんだんと強くなってくる。


  

岩屑の道はどんどん急になってくるが、それにも増して風と雨は更に激しくなってくる。う~ん、これは撤退かな? それにしても人に合わないのはどういうことなんだろう? と思いつつもひたすら独標を目指して登っていく。
そして独標の直下まで来ただろうか、岩場を乗り越えて下る。この先は岩場を左から巻くように登れば独標のはず。KUMAクンついてきてるかな? と振り向くと人の気配がしない。しばらく待ってみるがやはり来ない。あ!もしかして・・・落ちたか・・・? 急いで引き返す。

  
西穂独標

写真右手の谷から突風と雨が吹き付ける。KUMAクンここが踏ん張りどころ。それにしても初穂高でこのような経験をするとは・・・。

そういえばどこかでみたような光景。そう、乗り越えてきた岩場は3年前に西穂山荘で会った若者、Yクンがなかなかついて来られず、今回と同様に引き返した所だ。まるで3年前の再現のよう。
急いで岩場を乗り越え来た道を戻ると、ガスの向こうにオレンジ色のレインウェアが見えてきた。ああ、KUMAクン無事だった。一瞬だったけどドキドキしたよ。
足元は雨で濡れた岩。滑らないように一歩一歩確実に歩くように伝える。そしてYクンがなかなか越えられなかった岩場。さすが昨年槍の穂先まで登っただけあって確実に岩を乗り越えるKUMAクン。独標はすぐそこ。あともうひと頑張りだ。

  
西穂独標

「あそこが独標か?」そう、目的地は目の前。

西穂独標

雨で濡れた岩は細心の注意を払って。

西穂独標

こんな時でも風と雨は絶えず吹き付ける。気温もかなり低くなってきており、コンディションは最悪。しかしここまで来たら独標まで行くしかないぞ!!


  

後は独標直下の岩場を登るだけ。ペンキマークを辿って岩を掴みながら登っていく。KUMAクンも後に続く。相変わらず雨風が強いがちゃんとKUMAクンの勇姿は撮ってるよ。
先に登っていくと足元に慰霊碑だ。昭和42年に松本深志高校の生徒11人が落雷に遭って死亡した。以前来た時は気が付かなかったので、ここで手を合わせる。
さて、肝心のKUMAクン。岩ばかりでなく下からの突風と闘いながらひたすら格闘。本当にあと一息だ。

西穂独標

事故があったのは48年前。時の流れを感じさせる。

  
西穂独標

独標直下の岩場に差し掛かる。ここからが難所。

西穂独標

岩場はペンキマークを外さないように。

西穂独標

振り返ってみるがもちろんガスで景色は望めず。ここはひたすら岩を登るのみ。しかし雨風がさっきよりもどんどんひどくなってきたぞ。

  
西穂独標

最後の力を振り絞って。

西穂独標

ようやく最後の岩を乗り越える。ここが西穂高岳独標だ。

  
西穂独標

何かが変わった瞬間。今日は欲張らずここまで。また来ればいい。

遂に独標に立ったKUMAクンだ。カメラを向けるとおもむろに左手を高々と掲げる。後にTwitterで「ただ独標に着いて支柱触った瞬間、何か変わったね。」とツイート。
確かに西穂独標へは北アルプスの中でも初級者向けと言われるが、故に遭難事故も多い。特に直下の岩場は注意を払って登らないと大事故につながる。
今回はこんなコンディションの中、KUMAクンよくここまで来た。ここから西穂高岳は大小10もの岩場のピークを越えて行かなければならない。更に体力をつけ、技術を向上させてこの先をチャレンジしてほしい。もちろん目指すは奥穂だ。
その前に、西穂ラーメンだよ!!


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