木村さんと登山を始めてから今年で19年目。飽きっぽい自分が一つの事にこんなにも長い間続いているものだと思う。そして北アルプスに踏み入れたのが2年目の夏の焼岳。続いて笠ヶ岳に日帰りで登り、木村さんが腰を痛めて途中引き返した2010年の常念岳を最後に、北ア山行はソロでの旅が続く。
常念岳を断念した翌々月、槍ヶ岳へ向かったのが自分の長年に渡る北ア山行の始まり。その後は西穂～奥穂、常念～蝶、黒部五郎、槍～穂高、裏銀座、奥黒部、後立、栂海新道、剱～立山と足跡を付けてきた。
毎年恒例となり10年続いた北ア山行なのだけど、昨年は例の新型コロナウイルスまん延により思いもよらぬ緊急事態宣言で職場から旅行自粛命令。10月に入って解除となったとしても、既に山小屋は閉まっており、敢なく断念するという結果になってしまった。でもって、今年は第7波が来てはいるものの、普段の生活は徐々に日常化している。いつもの如く、天気予報に一喜一憂しながら仕事の進捗に合わせて休暇をいつ取るか、無理のない行程になっていないか、あらゆるリスクを考慮しながら頭を悩ませるのも恒例のこと。

今回歩くコースは悩みに悩んだ結果、昨年計画したコースを歩くことにした。七倉を出発点とし、裏銀座の入り口である高瀬ダムから湯俣温泉まで歩いていく。湯俣温泉晴嵐荘で一泊して竹村新道で一気に裏銀座の稜線へと登る。今回の行程で最もきついところだ。稜線に出たらそのまま北上して野口五郎岳から三ツ岳（山頂は巻く）を経て鳥帽子小屋で二泊目。三日目は崩落が激しく、歩く人も少ない南沢岳～不動岳～船窪岳のルートを歩いて船窪小屋へ。最終日はそのまま七倉へと下山する、ちょうど周回するコースとなる。
今年は何かと山での遭難ニュースが多い。コロナ禍で久々に山に入るせいか、怪我をしたり、疲労で動けなくなったりすることが多発している。今回も暗い中を歩くことになるけど、ネットニュースに載ってネット民から袋叩きに合わないようにせねば。

お盆はしっかり仕事をしたものの、その後は悪天候が続く。9月に入っても相変わらずはっきりとしない空模様。次第に仕事もピンポイントで入ってくるため、待ちに待ってワンチャンスの週に夏休みを取ることにする。天気予報はまあまあなのだけど、山の天気はわからない。まあ、嵐でもない限り良しとしよう。台風は複数近づいてくるようだけど、何とか上陸する谷間となりそうだ。
前日に車を走らせ、夜に七倉山荘のある登山者用の駐車場に着く。ガラガラとまではいかないけど、平日なので駐車スペースは余裕だ。明日の初日は湯俣までひたすら歩くことになるけど、ほぼフラットな林道歩きなのでウォーミングアップにちょうどいいだろう。車中泊で明るくなったら出発する。

多少は眠れただろうか、朝食を取って出発の準備をする。七倉から先は一般車両は進入禁止なので、ほとんどの人はここから高瀬ダムまでタクシーを使う。既にタクシーが何台か来ており、運転手さんが登山者に声を掛けていて車に乗り込んでいる。自分はというと・・・　せっかく来たのだからタクシーは使わず高瀬ダムまで歩いていく。今日は時間的に余裕があるので、わざわざタクシーを使う必要もないしね。

さあ、三泊四日の長丁場の旅が二年ぶりにやってきた。無事に楽しく歩けますように。

N-VANで車中泊。何とか眠れた。早速出発の準備。

登山者用駐車場から七倉山荘は目の前だ。

ここが七倉山荘。登山無しで泊まってみてもいいな。

近くにある登山補導所。早いのでまだ開いていない。

とりあえずポストに登山届を入れておく。無事に戻れますように。

ここから先は一般車両は進入禁止。高瀬ダムまではタクシーの送迎があるけど、今回は使わない。先にあるのは山ノ神トンネル。この先はトンネルが多いので車両に注意せねば。念のためトンネル内ではヘッデンを点け、ゲートの管理人さんに挨拶をして出発する。

山ノ神トンネル入口。奥にナトリウムランプが見える。

ヘッデンを点けて山ノ神トンネルを歩く。ここは真っ直ぐなので車が近づいてくるのがわかるからいい。しかし工事用の大型トラックがまだ走っていないだけいい。後からわかったのだが、大型トラックはまだ走る時間帯ではなかったようだ。
長いトンネルを抜けると所々に覆道や短いトンネルが続く道を歩いていく。カーブも多いので、走ってくる車には要注意だ。おっと、ガーミンの電源を入れるのを忘れていた。ただ、トンネル内ではGPS信号は拾えないけどね。

さすがにたまにタクシーや作業車が通るくらいで、歩いている人間は自分一人だ。

オレンジ色のナトリウムランプが点くトンネルを歩いていく。

まもなく出口。長いな～

トンネルを出ると舗装路が続く。ここでガーミンの電源を入れる。

またまた現れたトンネル。多分神沢トンネルかな。

今度は覆道。それにしても静かだ。

cirrus2022年一覧へ戻る