雪倉岳~朝日岳一日目 ~鉱山道のうまい水~
鉱夫たちの道
ここで道だけが残った「蓮華鉱山」の説明。
その歴史はかなり古く、17世紀初頭に上杉謙信が雪倉岳の東山腹に「雪倉銀山」を開発。「銀山」といっても銀は少量で主に鉛や亜鉛鉱が採れたとか。江戸時代に再開発されるも過酷な気象条件のため長くは続かず、明治末まで細々とと採掘が続けられた。大正時代にかけては蓮華鉱山合資会社が設立するも敢えなく撤退。何とその後には「SUBARU」のはるか前身、中島飛行機が試掘していたそうだ。そして時代の流れとともに鉱山は置き去りにされ、現在はその道だけが残っているということ。ちなみに鉱山が開発された際に発見された温泉が出発地点の蓮華温泉だとか。
こうして歴史を辿ると登山とは違った姿も見えてくるもんだね。
かなり標高が高くなった。鉢ヶ沢の雪渓もだんだんと遠ざかっていく。相変わらずたまに横切る小さな沢や花たちに元気づけられながら息を切らして前に進む。
そして振り返ると・・・
お、なんか遠くの山が見えてきた!!
鉢ヶ沢の雪渓。その左に歩いてきた鉱山道が見えている。
やはり延々と続く登りの登山道はキツイが、足元の花たちが応援している。
ここでも小さな沢。
まだまだ登らねばならない。かなりバテてきた。
岩の上を流れる水。
振り返ると遠くに山々が見えてきた。ちょっと雲が広がっているのが残念だけど、まだ気温が低いからマシ。ここで太陽が照りつけると一発でバテバテだろう。
背後に見えていた山々は火打山、焼山、雨飾山といった妙高方面の山だった。そういえば秋の戸隠もここのところ行けずじまい。今年は・・・行けるかな?
し、しかしちょっと足が前に出なくなってきた。ちょっとここで小休止。お腹が空いているのかもわからない。とりあえずは軽くキャラメルや飴を口に入れる。空は曇っているのに相変わらず汗でびっしょり。もう少しで精錬所跡なのだけど、かなりコースタイムから遅れている。ここは途中でパンクしないようにマイペースでいこう。
まだまだ続く厳しい登り。
眼下に続く鉢ヶ沢の向こうに見えるのは・・・
右側で一番高い山が焼山。その右奥が火打山。そして手前にどっしりと雨飾山だ。
鉱山道で一番大きな沢。写真ではどおってことないように見えるけど、実は結構幅があるんだよね。
鉱山道には何箇所か沢が横切っているのだが、今日は水量はまあまあで渡るのにも特に難儀はしない。しかしこの沢はちょっとまずい。渡るポイントがないのだ。高巻きすることもできないので、仕方なく滑って転ばないように少々靴を沈ませて素早く渡る。
ちょっとヒヤッとしたけど、何とかクリア。渡った向こうには小さな雪渓が残っている。そしてその向こうには延々とペンキマークが続いているのが見える。
まだまだ稜線に出るまで遠いな・・・。
沢を渡った対岸に小さな雪渓。
その先に延々とペンキマークが続く。
雪渓から滴る雪解け水。
そしてとうとう、というか遂に足が止まってしまった。少し休んで再出発してもすぐに立ち止まってしまう。自覚はないのだがシャリバテか? と思い、ザックを下ろして昨日買ったおにぎり2個を腹に入れる。
コースタイムからは大幅に遅れているけど、ここで無理はできない。まだ今日の行程の半分も来ていないし、エスケープもできない。十分休憩を取ってまた歩き出す。ここからの登りの非常にキツイこと・・・。
行く手を見上げてもどこまで歩いていくのかわからない。GPSで確認するが、稜線はまだまだ先。ちょっと絶望感も出てきた。
鉱山道の随所に見られる沢。最初は一滴の水から大きな沢になっていく。
フラフラで登りきったところが塩谷精錬所跡だった。さすがに精錬されていた痕跡は何も見つからず。そのまま進んでいくと辺り一面チングルマの果穂。花はもうちょっと早いシーズンに来ないとダメだね。毎年果穂には巡り合うんだけど・・・。
登山道はザレた急登に変わる。すると前方に下りてくるオバちゃん二人が休んでいた。この下の沢を渡るところと瀬戸川の橋を渡ったところだけ気をつけるように教えてあげる。しかしこんなマイナーな道をよく下山ルートに選んだものだね。
足下の岩に「うまい水」と書かれている。これが鉱山道名物の「うまい水」。確かにうまい!!
塩谷精錬所跡。この山が鉱山だったことが唯一わかる標識。
一面のチングルマの果穂。花が咲いている時に見てみたい。
辺りの草木がだんだんと少なくなってきた。そろそろ稜線かなと思いつつひたすら登るが、先にはザレた山道が続くのみ。
もう頭上に向かって歩いている訳ではないのに、最後の力を振り絞っているようだ。この先が昨年歩いた稜線。とにかく鉱山道分岐まで頑張る。
鉱山道名物「うまい水」。本当に美味いよ。
ピンクの花はカライトソウ(唐糸草)。お花畑の中を登っていく。
高い草木が減ってきた。稜線まではもう少しか。
まだまだ続く鉱山道。息が切れる。
あそこが分岐か? 一歩一歩頑張って登っていく。やっぱ標高差1,000mはキツイね。