黒部五郎岳 ~じぇじぇじぇじぇ~ ~
神の創りし圏谷
不覚にも途中で踏み跡を見失い、浮き石の岩場に登ってしまったが、すぐに間違いだと気づき元のルートに戻った。疲れてくるとこのように判断力も鈍ってくる。ようやく登りきった! 山頂だ!! と思ったら違っていた。辿り着いたのは「黒部五郎岳の肩」だ。ここでルートは二手に分かれ、左はカールへ下りていき、右は山頂へ向かう。で、右手を見上げると・・・だーっ!!! まだあそこまで登るんかい!!!
こーなったら最後までガンバル。岩にペンキで書かれた山頂の矢印を経てひたすら登る。そう、山頂は見えているんだ。あそこに立ってる人は・・・あそこが山頂か?
登りきったところに大きなケルン。ここが黒部五郎岳の肩。
肩の指導標。左手はカールを経て黒部五郎小舎へ。
まだ山頂ではなかった。山頂は肩から右手に更に登ったところ。まだまだまだまだあんなところまで登る・・・。そういえば下山してきた人がすれ違い様に「スゴイ景色ですよ!!」と教えてくれた。目的のカールまであとちょっとだ。
ペンキで書かれた山頂の文字。あと本当にもう少し。
足が止まることはないが、前に進むペースがかなり落ちてきている。
人が立っている。あそこが山頂か?
ようやく目の前に黒部五郎岳の山頂が現れた。深夜0時に出発して到達したのが8時55分。ほぼ9時間の行程にもうフラフラ。し、しかしだ。想像していたより広い山頂は黒部五郎岳の名前の如く石がゴロゴロ。そして360°の絶景。そして一番みたかったもの。前回は北ノ俣岳でじぇじぇじぇ~!!だったが、今回はここからじぇじぇじぇじぇ~!!!だ。
眼下に広がっている五郎のカール。これが見たかったんだよ。本当に一つの山をバケツでえぐったようなカールだ。山頂からは右手と左手にまるで火山の外輪山のように稜線が延びている。しかし火山じゃないんだよね。これまでにもカール地形は見てきたが、これはスゴイ景色だ。ここまで登ってきてフラフラだったけど、一気にテンションが上がってしまったよ。
出発してから9時間弱、ようやく山頂に着いた。とても厳しいルートだった。槍をバックに山頂の写真を撮る。
そしてこれが見たかった、五郎のカール。山頂から切り立った眼下に広がっている。よくよく見ると、左手には肩からカールに下りていくルートが見えているね。
ここにもあるんだ三角点。
こちらは南側の景色。ちょうど高山市や飛騨市の市街地からこちらが見えるはず。
何といっても今日もいい天気だ。360°の景色を順番に見ていこう。笠ヶ岳の向こうには乗鞍と御嶽。スゴイのは槍から穂高までの稜線が一気に見えること。そして裏銀座のはるか向こうには表銀座の山々。
裏銀座の稜線を北に辿っていくと、ちょろんと頭を出しているのは針ノ木岳と蓮華岳だ。ずっと見えていた薬師の右手奥には再度お目にかかれた剱岳。そのすぐ隣は立山だ。でもって更にその右手奥は白馬岳。おいおい、あんな遠くまで見えるんかい。
ここまで苦労して登ってきた甲斐があった。中俣乗越でテン泊していた男性も山頂にやってきた。どうやら肩にザックをデポしてきたらしい。
いつもとは違う方向から見ていた笠。バックに乗鞍と御嶽を従えている。
北鎌尾根から西穂まで一気だ。大キレットの「切れ落ち」がすごいな。
黒部五郎小舎の先は三俣蓮華岳に続く。
頭だけ出している大天井岳。表銀座もかろうじて見えているね。
なんと燕岳まで見えているとは。
水晶岳は静かな山と聞く。一度は登ってみたい山だ。
裏銀の稜線の向こうにかろうじて見えた針ノ木岳と蓮華岳。
ずっと見守っていてくれた薬師。その向こうは剱に立山、更に向こうに白馬だ。驚きに言葉も出ない。
白馬は小学生の頃にスケッチ旅行に行ったきり。またいつか・・・ね。
360°とはいかないが、山頂からのパノラマ。これを見るだけでも絶景を味わうことができるよ。
今度は個別に拡大して見てみよう。
笠ヶ岳から乗鞍岳、御嶽と揃い踏み。ここ3年ほど槍や穂高に登っているが、今日はその反対側から笠を見ていることになる。裏から見ても笠の形。やはり「飛騨の名峰」が似合っている。笠ヶ岳山荘は手前の小笠に隠れて見えなかったようだ。
笠ヶ岳はいつ見てもどこから見ても」笠」だ。まさに「飛騨の名峰」。
圧巻の槍穂の稜線。昨年は西穂から奥穂まで歩いた。今年は槍から奥穂まで歩くはずだったのだが・・・。今月最後のチャンスでもう一度チャレンジしてみようか。
しかしあの大キレットはスゴイなあ。南岳から一気に落ちて北穂に一気に上がる。あんなところ本当に行けるのか?
北は槍の北鎌尾根から南は西穂高岳へ続く稜線。前穂はちょっとだけ顔を出している。
圧巻の五郎のカール全景。山頂まで来なきゃこの景色は味わえない。バケツでえぐったというよりは、巨人、いや神がその手で一掻きしたという表現がいいかもしれない。しかしここまで来るのが一苦労なんだ。しかしこれを見ると今までの苦労も吹き飛んでしまう。
こちらは北ノ俣岳から稜線伝いに歩いてきたルートを振り返る。あ~帰りもきつそうだ・・・。
山頂から南側、ちょうど先に高山の市街地が見える。その先の位山三山や鷲ガ岳の位置は自信がありません。
最後にもう一度最大望遠での槍穂の稜線を味わおう。それにしてもギザギザで険しい。北鎌尾根は鋸の刃のようだ。
北ノ俣岳からの日の出と黒部五郎岳からの眺め。時間ちょっと長いけど、今回の山行ダイジェスト。
最後にどこかのおじさんが「これはいい山ですね~」と言ってるのがよくわかる。
0'00"~ 北ノ俣岳 5'56"~ 黒部五郎岳
ここで景色を味わいながらゆっくりとお昼ご飯。寒くもなし、暑くもなしで絶好のコンディション。連休というのに人も少ない。今頃槍や穂高はもちろん、人気の山は混雑しているだろう。ここはアプローチに時間がかかるせいか、例え連休でも混雑はしない穴場のようだ。
これだけの絶景、名残惜しいがまだ帰りがある。山頂に別れを告げ、下山することにしよう。
カールの奧に見えた黒部五郎小舎。山頂からもカールからもあそこへ行けるよ。
かろうじて写っていた雲ノ平山荘。屋根は赤色だけど、日の光で白く見える。
山頂にひっそりと遭難碑。平成になる数年前か。
遠くには白山。今日も天気がいいので先週同様登る人は多いだろうね。
山頂もちょっと賑わってきた。そろそろ下山するとしよう。