黒部五郎岳 ~じぇじぇじぇ~ ~
止まる足
さて、休憩も取ったので出発しよう。ここからは延々と登りが続く。しかも木道が整備されていて丸太の階段がずーっと続いている。最初はこれはありがたいと思い、一段一段登っていくのだが、あれ? なんか調子がおかしい。
ちょっとペースを落としてゆっくり登っていく。間もなく木道は途切れた。登山道は深い溝の横に踏み跡が続いている。溝を避けるように進んでいくが・・・やっぱおかしい。足が前に出ない。前半飛ばしすぎではないにしても、平坦な道が多かったせいか、あまり休憩を取っていなかった。どうやらここにきてそれがきいてきたようだ。フラフラと腰を下ろしてしまう。
延々と続く木道。こんな山奥に誰が整備したのだろう。
振り返ると登ってきた木道。これがなかったら既に足は止まっていたかも。
途中にある多くの池塘(ちとう:湿原の泥炭層にできる池沼)。
どこまで続くんだ、この木道。
木道が途切れた。さすがに山頂までは続いてないね。
溝に沿って踏み跡が続いている。この時点で足が前に出ない。
バックにははるか遠くに白山が応援してくれている。
見上げると頭の上に北ノ俣岳らしき稜線が見える。まだまだあそこまでかなり時間を要するな。こんなところでバテてしまっては黒部五郎岳どころではない。ゆっくりでも一歩一歩前に進んでいく。
どれくらい時間をかけて登っただろうか、ようやく先が見えてきた。登りきった先には何と絶景が待っていた。左手にはまだ剱岳が頭を出している。その手前は薬師岳。その向こうの稜線は黒岳、鷲羽岳、三俣蓮華岳といった裏銀座の山々。そしてさらにその向こうには独特の形、槍ヶ岳だ。思わず「じぇじぇじぇ~!!」。ここまで登ってきた甲斐があったなあ。
し、しかし・・・かなりバテてしまった。
まだまだ登る。こんなところでバテるとは。
登りきったところは神岡新道が立山からのルートと合流する地点。ここで視界が開けてじぇじぇじぇ~!!。疲れも一気に吹き飛ぶ・・・ことはなかった。
そのまま緩く下っていくと木道がある。左へは太郎平小屋を経て薬師岳、右へは北ノ俣岳だ。右へしばらく木道を歩く。北ノ俣岳へは軽く登る程度。
しかしこれまで歩いてきた景色ががらっと変わってしまった。ちょっとタイムロスしたけど何とか黒部五郎まで行けそうか。
薬師からの登山道にここで合流。
北ノ俣岳に向けて木道をしばらく歩く。
北ノ俣岳と反対側には雄大な薬師岳。これまで槍や奥穂など比較的遠くから見たけど、こうやって間近に見ると本当にデカい山だ。薬師に隠れて見えないが、この向こうは立山、そしてちらっと顔を出している剱岳に続く。
いや~山奧深い所に来てしまったな・・・。
どっしりとした山容の薬師岳。空にはうまい具合に飛行機雲が何本か延びている。左手奥には恥ずかしそうに剱岳。