黒部五郎岳 ~じぇじぇじぇ~ ~
アッちゃんゴメン
山登りを始めたばかりの時、黒部五郎岳といえば野口五郎岳の親戚か? というくらいしかイメージがなかった。この黒部五郎岳がカール地形で有名なのを知ったのは各務原市にあるテクノプラザの科学技術図書館で百名山のビデオを見た時だ。まるで巨人がその手で一掻きしたかのような広大なカール。近場では涸沢カールや千畳敷カールがよく知られているが、黒部五郎岳にある「五郎のカール」は山に対してあまりにも大きい。googleの航空写真で見ると一際目立つ圏谷である。
黒部五郎岳は立山連峰から薬師岳へ続く稜線を南下したところに存在するため、すごく遠くにあるように感じるが、何とお馴染みの各務原アルプスからその姿を見ることができる。しかし残念なことに肝心の五郎のカールは反対側のため、見ることはできない。
出発日の先週はグダグダの天気予報に振り回され、槍穂縦走を取りやめて貴重な夏休みを棒に振ってしまった。このままではストレスが溜まるばかりなので、いつかはと思っていた五郎のカールを見ようと黒部五郎岳を目指すことにする。
予定を公開したところ、アッちゃんが同行したいと連絡があった。今回の山行はかなりハードでナイトハイクもあるため、一緒に行ってくれるのはありがたい。しかしまたまた空は味方してくれず、日曜日は雨の予報。しかも台風の接近。その一日前の土曜日は何とか天気がもちそうだが、アッちゃんの都合が悪い。アッちゃん曰く、「気にせず土曜日に行ってきてください。」
ナトリウム灯があるので真っ暗ではない。今日はここから出発だ。
本当にアッちゃんには申し訳ない。せっかくのお言葉に甘え、ソロで土曜日にアタックする。出発は朝の3時に飛越トンネル手前の登山口から。ここから飛越新道を登り、途中で神岡新道に合流、寺地山、北ノ俣避難小屋を経由し、薬師岳の南にある北ノ俣岳で稜線に出る。そこから一気に黒部五郎岳だ。標準の累積時間では歩くのに要する分だけでも何と16時間。何とか明るいうちに戻りたいので、朝3時に出発できるように準備する。
飛越トンネルまでもこれまた遠い。車で山道をグネグネ上がっていくと、トンネル手前にナトリウム灯に照らされた駐車帯がある。登山口は北ノ俣岳登山と書かれてあり、登山届のポストもある。準備しておいた登山届を提出し、いざ黒部五郎岳に向けて出発だ。久々のナイトハイクだが、獣に出くわしませんように。
ナトリウム灯が点灯している飛越トンネル。この向こうは有料の有峰林道。
北ノ俣岳登山口の看板。ここから黒部五郎岳を目指す。
登山届のポスト。この向こうに簡易トイレもある。
久々のナイトハイクは緊張。無事山頂まで行けるか?
登山道はいきなり急登。今日は「超」が付く長丁場。暗闇の中をヘッデンと胸のストラップに付けたLEDライトで行く手を照らしながらゆっくり登っていく。振り返ると眼下にナトリウム灯のオレンジ色の灯りが見えている。一気に高度が上がったんだ。
登山道は比較的整備されている。暗くてあまり実感は無かったが、どうもアップダウンを繰り返していたようだ。これが帰路でかなりのダメージを喰らうことになる。
これまた暗かったせいか、神岡新道といつのまにか合流していたのにも気付かなかった。しばらく樹林帯の中を歩いていたが、開けている箇所に出た。空は徐々に明るくなってきている。右手をみると独特の形の山。あれは笠ヶ岳だ。こちらから見ても同じ形しているんだね。
しかし・・・噂には聞いていたが、道はぬかるんでいて足を置くところを間違えると泥沼にズブズブ沈んでいく。気が付くとスパッツはもちろん、その上も泥だらけ。こればかりはしょうがないね。ふと足下を見ると「鏡平」の看板。この先鏡池だ。
空が明るくなってきた。遠くに笠ヶ岳。この方向から見るのは初めてだけど、やっぱり「笠」の形だ。
ありがたいことに台風の影響はなく、今日は天気は期待できそう。
そろそろヘッデンは必要なくなってきた。平坦な道が続く。
鏡平の看板。山小屋のある鏡平じゃないよ。
ここまで獣には出会っていない。というか、気配も感じなかった。
鏡池は小さな池だ。ここからこの先の寺地山まで30分ほど。平坦な道からちょっと登ることになる。足下にはミヤマリンドウ。しかし花どころではなく、泥沼にはまらないように気をつけながら進まなければならない。空は薄い雲を携えて青色。よし、天気は大丈夫。
鏡池に着く。ここから寺地山へは30分ほど。
飛越新道の標識。これだけでも安心。
足下がぬかるんでいる中、寺地山への登りが始まった。
足下にはミヤマリンドウ。しかし花よりも泥沼に注意だ。
ここまでは順調だった。そう、今日は本当にここまでだった・・・。