栂海新道

栂海新道一日目 ~早すぎたけど到着~

五輪尾根再び

北アルプスで人気のある山といったら・・・

日本のマッターホルン 槍ヶ岳
穂高連峰の盟主 奥穂高岳
アルプスの女王 燕岳
花の名山 白馬岳
神の山 立山
雪と岩の殿堂 剱岳・・・

恐らくこんなところか。いずれも多くの人に名が知られ、多くの人が目指し、多くの人が山頂に立つ。
標高も3,000m前後と高く、山頂から見渡す景色は誰もが感動するだろう。

そんな北アルプスの中でもあまり名が知られてはいないが、登山者にとって一度は歩いてみたい憧れのコースがある。北アルプスの朝日岳直下の吹上のコルから北へ続く縦走路で、その起終点は海抜ゼロメートル、親不知の海岸となっている。このルートは「さわがに山岳会」が1966年から抜開を始め、6年間の歳月をかけて未開の朝日岳以北を拓き、1971年全線開通したものであり、この記録を綴った本が山と渓谷社から「栂海新道を拓く 夢の縦走路にかけた青春」や、 考古堂書店から「栂海新道ものがたり その自然と人々」(いずれも小野 健 著)として出版されている。

この栂海新道、憧れとはいえ、歩く者は少ない。なぜかというと、全長27kmにも及ぶコースはあまりに長く、途中に宿泊所は栂海山荘、白鳥小屋と2箇所あるものの、いずれも無人小屋であったりすることと、起終点の吹上のコルのある朝日岳に最も近い朝日小屋はどこの登山口からも遠く、最も近い北又ルートでも6時間半かかってしまう。しかしながら、槍や穂高、剱のような派手さは無いものの、その厳しさや山から海へ繋ぐ道であることから「登山者憧れの道」と言われるのかもしれない。

日本海側の起終点である親不知は、かつてウェストンが白馬岳に登頂した時に親不知の断崖を訪れ、「ここが日本アルプスの起点である」と記述したように、栂海新道の起終点は日本アルプスが日本海で終わっているところなのである。
北アルプスを中心に毎年縦走してきたが、長い旅路の果てにようやく終着駅へと向かう今回の山行。先月は体力の無さと思わぬアクシデントで断念したが、今回は前回の反省をもとに何とか栂海新道を歩いて日本海に出てみたい。しかし・・・夏期休暇がまだ残っていたので何とか休みは取れたものの、台風が接近している。まともに台風直撃となったら山の中で待機となりかねない。こればかりは運を天に任せるしかないか。

栂海新道は朝日小屋を出発し、日本海へ向かう。逆コースは登りになるので体力的に厳しい。とはいえ、栂海新道はアップダウンが激しいので下りでもかなり体力を使うとのこと。朝日小屋を出発するということは、まず前日に朝日小屋まで歩かねばならない。前回の逆、つまり蓮華温泉から五輪尾根を今度は朝日岳へと登り、朝日小屋を目指す。今度はバテないように余裕を持って行かねば。
仕事が終わると同時に速攻で帰宅。荷物を車に積み込んで東海北陸自動車を北に走らせる。平岩から山道を走って蓮華温泉の駐車場に到着。さすがに平日の深夜は車もまばらだ。

  
栂海新道

登山届を提出。今度は忘れずに持ってきた。

栂海新道

前回間違えてしまった朝日岳への登山口。

栂海新道

ここから朝日岳を目指す。今日も長丁場だ。

  
栂海新道

木道を歩いて間もなく鉱山道分岐。ここは右の兵馬ノ平へ。

栂海新道

兵馬ノ平に到着。もちろん湿原は真っ暗で見渡せない。

栂海新道

真っ直ぐ行くとかもしか展望台。ここは右折。


朝日岳からの下山では瀬戸川から登山口まで延々と続く登りがしんどかったが、今回は逆なので瀬戸川までは下りとなる。暗い中を進んでいくと右手から沢の音がどんどん大きくなってきた。瀬戸川橋を渡ればここから五輪尾根をひたすら登っていくことになる。ここから白高地沢までは緩やかな登りなので、あまりオーバーペースにならないようゆっくり進む。ひょうたん池の標識を過ぎると間もなく白高地沢橋だ。橋を渡ったところでまずは小休止。ヘッデンを消すと満天の星空・・・といきたいところだけど、星はわずかしか見えず。ちょっと雲が出ているようだ。

本格的な急登はここから。ここもマイペースで一歩一歩登っていく。間もなく樹林帯を抜け木道が現れる。そのまま先へ歩いていけば花園三角点だ。

  
栂海新道

瀬戸川橋に到着。ここから登りがスタート。

栂海新道

ひょうたん池の標柱は倒れていた。

栂海新道

白高地橋。ここまでは順調。

  
栂海新道

橋を渡ったところで小休止。獣と遭遇しないように。

栂海新道

木道を歩いて花園三角点に到着。

栂海新道

こんなところに三角点なんて不思議だ。


  

ほぼ半月前に一度歩いており、ルートの状態や距離がどんな程度かわかっているので、比較的ここまでは順調。

そろそろ東の空が明るくなってきた。方向的には西に向かって歩いているので背後から日が昇ることになる。ということは五輪高原の木道を登りながら日の出が拝めるわけだ。東の空には明けの明星、金星が輝いている。わずかに広がる雲もいい光景だ。
写真を撮りながらひたすら木道を進む。今日はまだ台風の影響はなさそうでいい天気かもね。

栂海新道

東の空が明るい。そろそろ日の出だ。

  
栂海新道

ぶれてしまったが明けの明星。

栂海新道

本当はこんなところで天体観測できたら最高なんだけどね。

  
栂海新道

そろそろ日の出の時刻だ。空が明るくなってきたよ。

栂海新道

朝日岳に続く木道も照らされている。


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  4. 帰路

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