後立山縦走二日目 ~双耳峰からキレット、グラートへ~
稜線闊歩
なんかこの先に広場らしき箇所が見え隠れしてきた。再度しばらく下っていくと、眼下に建物が見えてきた。あれが八峰キレット小屋だ。
ここはし、しかしよくこんなところに山小屋を建てたもんだ。まさに両側が切れ落ちたコルにある。
鹿島槍ヶ岳北峰から一気に歩いてきたので、ちょっとここで休ませてもらおう。時刻は朝の6時半。小屋周辺には誰もいない。ヘルメットを脱いで一休憩。ここからの剱岳の眺めがまたいい。そして今まで見えていなかった山々も見え始めた。確実に北に向かって歩いていることを実感。
キレット核心部を経て見えてきたのがキレット小屋。
「ストックをたたんで・・・」と書かれている看板。
さすがにここも人の気配がしない。
ちょっと表のベンチで休憩。きれいで立派な建物だ。ちなみに「八峰」は「はちみね」と読む。由来はこのあたりで猟をしていた「八っつぁん」らしい。
休憩も一時。再度ザックを担いで出発する。この先、今までのような急な岩場はあるのかな? 振り返るとキレット小屋がコルに建てられているのがよくわかる。そしてその前後は急な崖。スゴい所に建ってるなぁ・・・。
そしてこちらからは鹿島槍ヶ岳の双耳峰がよく見える。あの北峰から一気に下りてきたんだな。急な岩場はこれで落ち着くかと思ったら、今度は岩場を登るルートに変わった。ここから五竜岳に向かってキツい行程が続くが、まずは軽いアップダウンを繰り返しながら最低鞍部の口ノ沢コルを目指す。
まるで落ちないようにバランスを取っているかのように建っているキレット小屋。「山のベテランが集う小屋」と言われるのもわかる。
北側から眺める鹿島槍ヶ岳の双耳峰もいいね。
岩場のルートは相変わらず。ここも浮き石に注意して慎重に。
東側の谷には雪渓がある。
口ノ沢のコルへ向けて岩場を下っていく。
途中平坦なところで6人ほどのおじさん達のパーティーに遭遇。先に行かせてもらうが、この辺りの山域には詳しそうだ。
思った以上に岩の上を歩く。しかし危険箇所は必ずといっていいほど鎖が設置されているので悪戦苦闘するほどではない。むしろ鎖に安心して集中力が切れないようにする。
口ノ沢のコルに着いた。ここは鹿島槍ヶ岳~五竜岳の間で標高が一番低いところ。そしてちょうどいい休憩スポットでもある。時刻は7時半ちょっと過ぎ。さすがに朝早く出発したので、シャリバテ寸前。行動食を腹に入れる。
しばらくすると先ほどのおじさんパーティーがやって来た。この先のルートを見上げながら、「あそこがG5」、「あそこがG4なんたらかんたら・・・」と話している。ここは今日の最低鞍部。ここからは五竜岳に向けてきつい登りだ。最初の目標は北尾根ノ頭。
口ノ沢のコルに到着。いや~、ここまで疲れた~。
出発前に再度景色を楽しんでおく。キレット小屋では隠れていた立山もここからはかろうじて顔を出す。剱岳は見るからに険しそう。いつか登る時が来るのかな?
そして北側は稜線に沿って登山道が延びている。手前の尖ったピークが北尾根ノ頭。そしてその先が五竜岳だ。まだまだ先は長いな。
ここからの剱岳もいいね。立山がかろうじて見えている。
行動食を摂ったので多少は元気が復活。頑張って北尾根ノ頭に向けて登っていく。北尾根ノ頭は標高2,560m。口ノ沢コルからは標高差約150m。
休むこともなく、その先のハシゴを下り、更に一旦下っていく。途中ヘルメットを被ったソロのお姉さんとすれ違う。女性のソロ山行はたくましいね。
一気に北尾根ノ頭へ。なんかこの先もいくつかアップダウンがあるぞ。
標高は2,550mと書かれてあるが、公式には2,560m
北尾根ノ頭から一旦下る。振り返ると、今にも崩れそうな岩場を歩いてきたことがわかるね。単純な登山道よりもたまに岩場があったほうが変化に富んでさほど疲れを感じない。
鹿島槍ヶ岳を目指すお姉さん。女性のソロ山行はカッコいい。
北尾根ノ頭直下に設置されたハシゴ。
ここからだと鹿島槍ヶ岳の双耳峰が並んで見える。五竜岳からはどのように見えるだろうか。
北尾根ノ頭から一旦下り、再度登っていく。この先、岩場あり、鎖あり、下って登ってを繰り返して標高を上げていく。体力がどんどん消耗されていくのがよくわかるぞ。
息が切れてきたが、なぜか足が止まるようなことはない。今日の行程は昨日と同程度だからね。ここでバテてたら明日以降が思いやられる。