後立山縦走

後立山縦走二日目 ~双耳峰からキレット、グラートへ~

敢えて北峰から

初日は冷池山荘に宿泊。そして二日目の今日の目的地は五竜山荘。決して無理な行程ではなく、むしろ普通の行程。しかしまだ暗いうちに出発するのは鹿島槍ヶ岳で御来光をと目論んでいるため。山頂まではコースタイム約2時間。マージンを見込んで早目に出発する。いつもの如くお世話になった山荘に一礼して出発。明るいヘッデンは頼りになるが、あと三日間電池が持つかどうか。
地形図からするとテン場からは急登になるが、まだ出発して間もないため、いいペースで歩くことができている。最初のピークは布引岳。ここまで1時間もかかっていない。まだ歩けそうなのでそのまま山頂から進もうとすると人の気配。若い男性が一人休憩していた。恐らく彼も鹿島槍ヶ岳からの御来光を求めて登っているのだろう。

布引岳から一旦下るが、すぐに再度きつい登りになる。しかし暗いせいか、さほど息切れもしない。振り返ると冷池山荘からヘッデンの灯りがいくつかと見えている。やはり思いは皆同じなんだな。
途中で布引岳で休んでいた若者が抜かしていく。あの軽装で先へ進むのだろうか。彼のヘッデンの灯りが行き先を示してくれる。そろそろ登りきるところだ。

  
後立山縦走

暗いうちに冷池山荘を出発。今日も安全を心掛ける。

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途中で遭難碑に手を合わせる。

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まずは最初のピーク、布引岳に到着。ちょっと風が吹いているが霞沢岳のように震え上がるほどではない。見下ろすと大町の市街地だろうか。ポツポツと明かりが見える。見上げると満天とはいかないが星が見えている。今日も何とか天気良さそう。


  

急登を登りきると、ヘッデンが照らす目の前に黄色の指導標。ぐるりと回って見ると、ここが鹿島槍ヶ岳南峰だ。予定よりも早く山頂に着いてしまった。先に行った若者は東向きの一等地で御来光をビデオに撮るのだろうか、準備をしている。
しかし、今から日の出時刻までまだ一時間もある。恐らく最高峰で日の出を拝み人たちが後からたくさん登ってくるだろうということを見越し、ここは先の北峰に行くことにする。

指導標の「キレット小屋 五竜岳」方面に向かって一旦下る。し、しかし・・・あれ? かなり急だぞ。しかも所々岩を掴まなければならない。そういえば、以前行きつけのアウトドアショップ「キャトルコール」に行ったとき、鹿島槍ヶ岳からの下りは要注意と聞いていた。なるほど、こういうことか。
まだ暗い中、ちょっと気を引き締めて集中しないと大変危険。行き先と足元をヘッデンで照らしながら一歩一歩浮き石に注意して下っていく。下ってからも要注意。北峰はすぐそこと思っていたが大間違い。舐めてたわけではないけど、今思えばキャトルコールでのアドバイスは助かった。

  
後立山縦走

鹿島槍ヶ岳南峰に到着。しかし日の出までまだ一時間もある。ここで御来光を一時間も待つことになると体が冷えてしまう。さて、どうしようか。

後立山縦走

ここは北峰まで行ってしまおう。

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標高2,889.08mの二等三角点。基準点名は「鹿島入」。


  
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北峰への尾根の途中に「吊尾根」の指導標。吊尾根といえば奥穂と前穂間の尾根が有名だけど、双耳峰をつなぐここの尾根も吊尾根と呼ばれるようだ。

その吊尾根を必死で歩き、途中の八峰キレットとの分岐から北峰に登る。南峰から約30分。鹿島槍ヶ岳北峰に着いた。先ほどより東の空が明るくなっている。

後立山縦走

鹿島槍ヶ岳北峰に到着。双耳峰のこちらは南峰より標高が低く、山頂も狭いせいか誰もいない。ここで日の出を見るとするか。

  
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こちらは戸隠、妙高の山々のシルエットがきれいだ。遠くには四阿山と浅間山。

  

振り返ると鹿島槍ヶ岳南峰から歩いてきた冷池山荘、爺ヶ岳への稜線を辿ることができる。最高峰の南峰からも景色はいいだろうが、人のいない北峰からの景色もなかなかいい。

日の出を待っているとヘルメットを被った若者が一人登ってきた。荷物がなかったので、恐らくザックは下にデポしているのだろう。

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日の出前の鹿島槍ヶ岳南峰。こちらの方が標高は低く、見上げるようになるが、写真からはあまり標高差は感じられないね。

  
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そろそろ日の出の時刻。今日の日の出は5時18分。

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ジャストの時刻にお日様が顔を出した。

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本日の御来光。山での日の出はいつ見てもいい。

  
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朝日に照らされる山々。今日も一日安全に歩けますように。

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南峰で日の出を見ている人たち。


  
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北峰からの日の出。大抵の登山者は南峰に集まるが、敢えて北峰からの静かな日の出もいいもんだ。

鹿島槍ヶ岳の山名の由来は、鹿島集落にある尖った山頂の山を槍ヶ岳に対して「鹿島槍ヶ岳」と呼ぶようになったことかららしい。古くは後立山(ごりゅうざん)とも呼ばれており、後立山連峰南部の盟主として親しまれている。この後、遠くからこの双耳峰を北から見ることになるが、とても美しい山だ。

後から来た若者に頼まれ、南峰をバックに写真を撮ってあげた。こんな人気のない北峰に自分がいたということはある意味ラッキーだったかもね。
お礼を告げた後、彼は先に下山していった。

  
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北峰から360度の眺望。赤い南峰が見事。遥か遠くは槍穂高、北へはこれから向かう白馬岳。東に妙高、西は立山、剱。これは見とれてしまう。

  
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恐らくここの山頂でも日の出を見ている人たちがいるだろう。それにしても険しい山々だ。

もうちょっとモルゲンロートを楽しんでおこう。遠くは朝日に照らされた剱岳。そして今後歩いて行く白馬岳へ続く山々。北へ北へ向かう後立山縦走。考えてみればなんて贅沢なんだ。

南峰から爺ヶ岳への稜線も朝日に照らされて赤くなっている。そしてその遠くには槍穂高。かつてはあそこからこちらを眺めていたんだな。

  
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再度南峰周辺。歩いてきた吊尾根がわかるね。

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ここからの下りはちょっと気を使った。

  
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こちらも見事な眺め。手前が五竜岳でその向こうに白馬三山が続く。雪倉岳は見えないけど、更にその向こう。

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果たしてあそこまで行けるだろうか・・・?

     
後立山縦走

雨飾山から焼山、火打山、妙高と続く。以前登った乙妻山、高妻山、西岳に本院岳、P1とこんなに近くまで来た。

  

十分景色を楽しんだのでそろそろ縦走ルートに戻る。そういえば先ほどまで山頂にいた若者はヘルメットを被っていた。ここから先は難所の八峰キレット。自分もザックからヘルメットを取り出して被る。
最近では登山ヘルメットも当たり前になってきた。いつ何時上から石や岩が落ちてくるかわからないからね。

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すっかり日は昇った。本ルートに戻り再度北を目指す。この先は八峰キレット。気を引き締めていこう。


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