槍ヶ岳 ~翼よ、あれが槍の穂先だ~
北アルプスのランドマーク
梯子を登るとそこは狭い山頂だった。先に登っていた親子2人が出迎えてくれる。深夜に新穂高を出発し、暗闇の登山道や沢を進み、飛騨沢の急登を登り、ようやく辿り着いた槍の穂先。祠は真新しくなっていた。かつての祠は落雷防止のため釘を使用していなかったそうだが、この祠もそうなんだろうか。とりあえずは親子の写真を撮ってあげてから自分のカメラを取り出した。絶好の天気。360°の絶景。今まで登った山の中で間違いなくナンバーワンの景色だ。親子は上高地から来たらしく、先を急ぐためすぐに下りていった。
いやいや、ここが北アルプスの中でも大人気で山頂が大混雑する槍ヶ岳の頂上? と思えるほど。山頂には自分一人。北アのランドマークを独り占めの「俺山」状態をしばし満喫。
さて、辺りを見回してみよう。南は飛騨乗越から見た大喰岳、その向こうにははっきりと穂高の山々が見える。あれが北穂、その向こうが奥穂、ジャンダルム、左へ吊尾根を経て前穂。右手には焼岳と乗鞍岳、雲の中に御嶽も見える。更に右手、笠と白山。あの赤い屋根は鏡平山荘かな? 西鎌尾根から裏銀座の山々。祠の向こうには北鎌尾根。いや~飽きない!
笠をバックに槍ヶ岳山荘を見下ろす。
遂に槍の穂先に到着。新しい祠が置かれていた。
これは従来のものかな?
祠の横にこんな看板が。
穂高の山々。いつか北穂へ縦走したいな。前穂の北尾根が圧巻。
笠ヶ岳と白山。槍から見た笠。笠から槍を見た播隆上人が槍を開山したんだよね。
焼岳があんなに眼下に見える。乗鞍はちょっと雲が出てきたかな?
西鎌尾根が眼下に続く。ここの縦走もいつかはしてみたいな。そして裏銀座の山々。表銀座に比べて静かな山を味わえるそうだ。さらに右へ視線を移すと、手前は硫黄尾根かな? 裏銀の山々もちょっと勉強しないと。
表銀座の山々。時間が経つのを忘れてしまう。
富士山もまだまだはっきりと見える。
富士山は大混雑らしい。もう少し静かなら登りたいのだが・・・。
遠くには雲海に浮かぶ八ヶ岳。
このまま山頂でしばらくノンビリしていたいが、まだ下山がある。名残惜しい気持ちを吹き払い、穂先から下りることに。すれ違いで登る人が声を掛けてくる。
「高所恐怖症くらいが丁度いいですよ」
なるほど、ビビるくらいが気を抜くこともなくいいかもしれない。
下りるときに気づいたのは、岩場は下りの方が難しいこと。登りよりも慎重に下り、何事もなく山荘にまで戻ってきた。
爽快な山頂であったが、これから長い行程を進まなければならない。少しずつ気温も上がってきた。周りに別れを告げ、飛騨沢を戻ることにする。順調にいけば明るいうちに新穂高まで戻れるはずだったのだが・・・。
↓おまけのパノラマ写真。山の名前や場所が違ってたらゴメンナサイ。
誰もいない一人ぼっちの槍の山頂からの眺め。お盆や9月の連休ではこの山頂は大混雑になるそうだ。