黒部五郎岳 ~じぇじぇじぇ~ ~
引き返しの判断
神岡新道分岐から北ノ俣岳へは一登りで到着。山頂には三角点がある。ここからの眺めも先ほど同様に絶景だ。でもって右手、槍ヶ岳から右に目を移すと今日の目的地、黒部五郎岳が見える。ここからは五郎のカールは真逆の方向。ちょうどここから見えている最高点から左右に腕を伸ばすようにカールを囲んでいる。まるでマントで隠しているようだ。
神岡新道から木道を歩いて一登り。
三角点のある北ノ俣岳山頂に着く。
北ノ俣岳山頂。ちなみに古来からの名称では、黒部五郎岳は富山県側、中ノ俣岳は岐阜県側らしい。中ノ俣岳の北にあるから北ノ俣岳だけど、この山も上ノ岳という別名があるそうだ。。
ここまで来ただけでも十分すぎるほどの景色。しかし、黒部五郎岳への道はここからが本番だ。
北ノ俣岳から黒部五郎岳へはここから赤木岳を経て中俣乗越まで下り、そこから300mの高低差を一気に登ると黒部五郎岳の肩。山頂まではさらにそこから一登りする大変ハードな行程が待っている。しかしながらここまでかなりの体力を使ってしまった。とりあえずは北ノ俣岳から稜線伝いにアップダウンを繰り返す。
しかし、登りも下りもかなりきつい・・・。
まずは北ノ俣岳からちょいと下っていく。
雲海に浮かぶ白山。
今日もたくさんの人が登っているだろう。自分も頑張ろう。
改めて行き先を確認する。カールはこちらからは見えない。何とか山頂から見下ろしてみたいものだ。
しかし体力がもつかどうか心配になってきた。
岩がゴロゴロしている赤木岳に差し掛かる。ここまで軽いながらもアップダウンの繰り返し。どうしても足が止まってしまうので、思い切って岩の上でザックを下ろし、軽く食事を取る。出発が早かったので空腹になっているのだろう。腹に多少でも入れれば何とか体力も回復するかもしれない。
そして再出発。十分に休憩を取り腹に詰めたはずだが、何とも足取りが重い。何とか中俣乗越まで辿り着いた。ここで再度ザックを下ろして座り込む。見上げると黒部五郎岳手前のピークが行く手を遮っている。ここから300m以上の標高差を登らなければならない。
ここで頭の中でシミュレーションをしてみる。今から登り帰路について登山口まで無事に着くとする。その結果、ここで引き返すことに決めた。無理して登ったとしても、無事登山口まで辿り着けるのか、辿り着いたとしても恐らく登山口どころか途中で真っ暗だ。ビバークの準備はしてあるが、できるなら避けたい。今からゆっくりでも戻れば明るいうちに戻ることはできそうだ。何事も無理はしない。これは登山をする上での自分の決めごとであり、自分との約束だ。
かなり、かなり歩いてきたはずだが、黒部五郎岳は近づいてこない。
歩いてきたところを振り返ってみる。帰りはあそこまで登り返しか・・・。
中俣乗越でザックを下ろす。今日はこれ以降前に進むのは断念。
ここを引き返す。北ノ俣岳に戻るだけでも一苦労だ。
黒部五郎岳手前のピークは頭上にある。今の体力ではここに登るのにも必要以上に時間がかかるだろう。
今日の引き返し地点の中俣乗越。また来ればいいね。
あそこが登るはずだった黒部五郎岳。
ここから見えるのは山頂直下の肩。山頂はこの向こうだ。
さあ、バテないように帰ろう。