乗鞍岳 ~嵐の中~
初めて踏み入れる山
さすがに今年の夏の猛暑には参ってしまった。外に出るだけでも危険を感じるくらいだ。よって登山は3,000mほどの標高の高いところへ登るしかなさそうなのだけど、今年は仕事の関係で余裕がない。しかし夏休みがまだ余っているということで、9月の連休が終わり、暑さも緩んだのと同時に山の混雑も緩和されただろうということで、山に向かうことにした。しかし2ヶ月ほど山に登っていないので、どこに行こうか? と熟考していたときに頭に浮かんだのは乗鞍岳だ。実はここはまだ登ったことがない。乗鞍岳は南側の御嶽、北側の焼岳に挟まれるように位置し、御嶽と同様に独立峰だ。この山は岐阜からでもよく見えるし、北ア縦走の時も天気が良ければ南側の遠くに必ず見えた山だ。最高峰は剣ヶ峰の3,026mで、国内では19番目に高い山。標高が3,000mを超えるのにもかかわらず登りやすいのは、乗鞍スカイラインで標高2,702mの畳平までバスで行けることだ。木村さんと登っていた時はバスを使わずに、登山道のある中洞権現ノ尾根を登ろうと計画していたのだけど、ここは歩く人も少なく、当時の地図ではヤブ化していて踏み跡も不明瞭とのこと。そして何よりも今年至るところで出没している熊も多いらしいので、当然のことながら今回はパス。恐らく今後歩くこともないだろう。ここは無難にバスで畳平まで行くことにする。
いろいろ調べてみると畳平バス停の手前に降車専用の大黒岳登山口バス停があるそうだ。乗鞍岳にはいくつものピークがあるけど、殆どは立入禁止になっている。登頂可能な数少ないピークを回ろうと思い、まずは大黒岳、一旦下って富士見岳経由で剣ヶ峰へ。そのまま畳平へ下山した後はちょっと寄り道して魔王岳。これなら十分乗鞍を楽しめるだろう。バスの出発地点は朴ノ木平スキー場の駐車場。高山に住んでいる時はスキーによくいったところだ。
事前に調べておいて、当日窓口が開く前にスマホから往復のチケットを買っておいた。これで窓口に並ぶ必要もなく、乗車時にスマホの画面を見せるだけ。おじさんたちがスマホの操作に難儀していたので教えてあげたのだけど、結局は諦めて窓口で買っていたよ。

朴ノ木平の駐車場。なんか乗り場の一番近くに停められた。

ここがバス乗り場。初めて乗るのでちょっと緊張。
始発のバスに乗り込んでいざ出発。平湯トンネルの手前で乗鞍スカイラインに入る。つづら折りの道をどんどん高度を上げていくのだけど、だんだんと雲行きが怪しくなってきた。なんか風がすごく強そうだ。途中のバス停では乗る人も降りる人もいない。そして大黒岳登山口バス停で下りたのは自分一人だけだった。

畳平行きのバスに乗る。スマホで事前にチケットを買っておけば楽だ。

平湯トンネル手前でスカイラインへ。

徐々に天候が怪しくなってきた。かなり風が強そう。

畳平の一つ手前のバス停で降車するも、ものすごい突風とガスだ。こんな状況で山に登るのか?
バスを降車して唖然となった。ものすごい突風だ。辺りはガスが立ち込めて見通しも悪い。一気に標高が上がり、雲の中に入ってしまったということか。これは大丈夫だろうか…と思っても周りには人っ子ひとりいない。まずは目の前の大黒岳まで登ってみよう。ちょっとそこから考えてみる。
歩き出してしばらくして思った。これはちょっとヤバいかな… ものすごい突風で飛ばされそうだ。パーカーのフードを被らなければ風で顔が痛いくらいだ。行く手は相変わらずガスが立ち込めている。もうこの時点で今日は無理だと思ったとき、前方になにか動くもの。何とライチョウさんが四羽もいるぞ。

大黒岳登山口はこちら。まずはここから登っていく。

辺りはガスが立ち込めて見通しは最悪。風も強くて歩きにくい。

ちょっと小雨混じりにもなってきた。

行く手に見つけたライチョウさんたち。4羽いるけどわかるかな?

ライチョウさんたちは天気が悪くなると姿を現すそうだけど。

よくこんな悪天候で平気だね。

まさか集団でお目に掛かるとは思っても見なかったよ。
こんなところでライチョウさんに会えるなんてラッキー… と思っているところではない。突風は相変わらずで雨も混じるようになってきた。行く手は真っ白なので、この先どうなっているかもさっぱりわからない。とにかく必死に先へ先へと歩いていく。剱岳に登ったとき、剱沢を剱御前小舎のある別山乗越へ向かうところで台風並みの雨風で飛ばされそうになったのを思い出す。あの時は雨も半端ではなかった。そんな状況を数多く経験していることから、今の状況がどれほどヤバいかは身にしみてわかっている。
GPSで確認するともうすぐ山頂のはずだ。登山道の斜度も緩くなってきており、ガスの向こうに何か建造物が見えてきた。

斜度が緩くなってきた。ガスの向こうが山頂か?

気象観測用の機材かな?

前方に方位盤とその向こうに休憩所が見えてきた。この天候ではありがたい。

大黒岳はなだらかな山頂だ。しかしこの天候では周りの景色はもちろん、じっとしているわけにもいかない。

行く手に見えてきたのは方位盤だ。そしてその向こうには休憩所だ。その間にひっそりと大黒岳の標識が立っている。とりあえずは休憩所で雨風が凌げる。体力的には全く問題はないのだけど、こんな天候では登山どころではない。立ち止まることなく、急いで休憩所に向かう。
