伊那権現山 ~極寒~
木曽駒の玄関口
ようやく笹が切れた平坦な地に出た。木に付けられたテープを見る限り、誰かが歩いた跡だろう。それにしても後から思えばなんつーところを登ってきたんだろう。同じところを下ることを考えると、こりゃちょっと帰りも難儀するな・・・。
まあ、まだ助かっているのは雪があまり深くないこと。スノーシューを履いてはいるものの、ツボ足でもさほど埋まらないだろう。ちょっと息を整え、先へ進む。GPSで確認すると、標高は1,200mくらい。さほど標高は稼げなかったようだ。
ようやく笹が切れた。帰りもここを下るのか?
どうやら正規のルートに合流した模様。相変わらずトレースは無いが、ルートを見極めながら登っていく。時たまアッちゃんがピークを見上げ直登しそうになるが、ここは諦めて巻いていく。
雪はちょっと深くなってきたかな? 木漏れ日が差しているけど、あまり体が温まってこない。
静かな伊那の山の中。ここは夏にテント担いで木曽駒を目指したいところ。
アッちゃん曰く、このルートは将棊頭山から木曽駒へ向かうクラシックルート。木曽駒ヶ岳への鉄板コースはロープウェイから千畳敷を経て山頂を目指すもの。雪がなければ登山初心者でも楽しめるコースだけど、他のコースは結構距離も長く、あまり歩かれてはいないようだ。この権現山へのルートは「権現ヅルネ」と呼ばれ、かつては廃道寸前にもなっていたようだが、こうして歩くことができるというのはとてもいいこと。
ぐるりとピークの左手を巻いていくと、「駒ケ岳 権現山登山道」の立派な指導標が現れた。その下に小さく「土俵跡」の看板。その昔、山仕事の合間に相撲を取ったところらしい。ここで小休止。自分はシャリバテのためソイジョイをかぶりつく。
時間がかかったけど、土俵跡に何とか到着。
ここで相撲を取ったんだろうか?
ちょっとここで小休止。お腹がグーグー鳴っている。
アッちゃんが叫ぶ。恐らくサルノコシカケ。かなり大きい。
本当に静かで奥深い伊那の山。
権現山に向けて再スタート。自分は帰りの事も考えると時間が心配。山頂へのタイムリミットは正午とする。
登り一辺倒のコースなので、下山は登り返しが無い。
ここから西へ尾根伝いに登っていく。
たまにルートはどこだろう? と迷うことも。
常輪寺への分岐に差し掛かる。当然そちらにもトレースは無し。
山頂へはアップダウンもなくひたすら登るのみ。スノーシューも所々沈むようになってきた。地図を確認すると山頂直下でちょっとキツいイ登りがある。スノーシューを履く足を持ち上げるのがだんだんしんどくなってきた。しかもなかなか山頂へ着かない。すぐそこなんだけどなぁ・・・。
トレースの無い山をひたすら歩くアッちゃん。膝くらいまで積もっているとちょっとキツいけど、この程度なら大丈夫。
さすがのアッちゃんも疲れてきた。
振り返ると木々の間から伊那の街。
最後のひと踏ん張りなのだが・・・。
履いているスノーシューが重い。
最後の登り。ちょっと雲もかかってきて小雪が降ってきた。いつもなら汗だくなのだけど乾いた空気と気温の低さで体が温まらないのは相変わらず。