槍ヶ岳

槍ヶ岳 ~翼よ、あれが槍の穂先だ~

飛騨沢を経て飛騨乗越へ

槍平小屋を過ぎると次の目標は千丈沢乗越への分岐点。しかしコースタイムからわかるように、かなりの急登である。今回の二つ目の課題。飛騨乗越まで登ることができるか。

朝5時くらいから辺りがだんだんと明るくなってきた。周りが見渡せるだけでも気分は全く違う。右後方には穂高の山々が、更に朝日に照らされた焼岳と乗鞍岳、笠ヶ岳もはっきりと見える。しかし飛騨沢の登りはキツイ。白出沢を渡ったところから登山道が始まると思ったが、実際の核心部は槍平小屋を過ぎてからだったのである。槍平小屋までさほど急登はなかったため、順調に登ってきたと思ったが、実はボディーブローのようにじわじわと体力が奪われ、この急登で足が出なくなってしまった。しかし休みながらも少しずつ登る。いつのまにか穂高は隠れてしまった。バックにそびえ立つ笠ヶ岳だけが頼り。

  
槍ヶ岳

ようやく明るくなってきた。穂高の山々のシルエットが見事。

槍ヶ岳

笠ヶ岳が顔を見せた。木村さんと登ったときはガスの中だったが、今回は雲一つかかっていない。

槍ヶ岳

焼岳と乗鞍岳。まだまだ焼岳の方がここより標高が高い。


槍平小屋を出てから標高100m毎に標識が設置されている。森林限界を過ぎたのだろうか、笠ヶ岳~抜戸岳が完全に姿を現した。そういえばここまで綺麗な笠を間近で見るのは初めて。改めて飛騨の名峰であることを感じる。手前抜戸岳に山の陰が映っている。あの尖った影が槍ヶ岳だろうか?ゆっくりながらも標高が上がるにつれて笠ヶ岳が近くなってくるのがわかる。それにしてもキツイ。

  
槍ヶ岳

飛騨の名峰がよく似合う。手前の抜戸岳には山の陰が映っている。

槍ヶ岳

あの尖った陰は槍の穂先かな? よくわからん。

  

目の前に千丈沢乗越分岐の標識が現れた。槍平小屋が設置した救急箱が置かれている。左へ進むと千丈沢乗越から西鎌尾根を経て槍ヶ岳に通じる。
ここは予定通り飛騨乗越へ。恐らく前方の窪みが飛騨乗越だろうか。

槍ヶ岳

飛騨沢から見上げた西鎌尾根。ここへ登るのもキツそう。

槍ヶ岳

千丈沢乗越分岐に到着。バテバテで何度も休んだ割にはコースタイムどおり。この先の飛騨乗越を目指す。ここで確認したらauが何とか通じるようだ。木村さんに笠の写メを送る。件名は「ここはどこでしょう?」。


前方の尾根を見上げると尖った岩が見える。あれが槍の穂先か? と思っていたが、後からよくよく写真を見ると、どうやら西鎌尾根上の岩塊のようだった。あの岩塊を槍と勘違いしてしまったためか、ルートはその岩塊からどんどん離れ、右方向へ逸れていく。本当にこのルートでいいのか? と思いつつもペンキマークや赤テープを目指してひたすら登る。何度も足が止まり、遂に尾根から沢へ陽が差してきた。

不思議なことに、あれだけ止まっていた足が動き始めた。標高3,000mの標識を過ぎ、ちょっと傾斜が緩やかになったせいか、若しくは飛騨乗越が間近にあると感じられたせいか、一気に登る。目の前に看板が現れた。あれが日本最高所の峠、飛騨乗越だ。

  
槍ヶ岳

飛騨乗越への道。ここがこのルートの中で一番厳しいところ。朝一で山荘を出発した老夫婦に励まされながら頑張る。

槍ヶ岳

槍ヶ岳山荘が見えてきた。左手の岩塊は槍の穂先ではなく、尾根上の岩塊。槍ヶ岳の姿は飛騨乗越まで行かないと見えない。

  
槍ヶ岳

飛騨沢を振り返る。笠ヶ岳の山頂と目線が近くなってくるのがわかる。

槍ヶ岳

標高3,000mまで来た。なぜか体力も復活? 飛騨乗越までもう少し。

槍ヶ岳

飛騨乗越に着いた。日本最高所の峠という感覚はあまりない。しかし一歩前に出ると絶景が待っていた。


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