奥黒部周回二日目 ~黒部湖横断~
平ノ渡
ここは五色ヶ原、黒部ダム、平ノ渡の分岐点。
まだ出航まで時間があるので、ここで行動食を摂っておく。小屋の裏手に回り黒部湖を撮ろうとすると、ワンコが顔を出す。小屋の看板犬だ。それにしても静かだ。たまに運行する船のエンジン音と鳥の声が聞こえるのみ。ここでノンビリと数日間過ごすのを想像すると、とことんガス抜きができるだろうかと思ってしまう。
しかし今日は変な天気だ。やはり再度雨がパラパラと降ってきた。急いで荷物をザックに収め、ちょっと肌寒くもあるのでレインを再度着る。今日は着たままで宿に向かおうか。
黒部湖を見渡す。さすがに黒部ダムは遥か向こうなのでここからは見えない。でもここは静かでいいね。
今日のワンコ、看板犬のモモちゃん(♀)。柴犬でおとなしい。カメラはあまりお好きじゃないようだ。
そろそろ時間近くなってきたので渡船場まで下りていく。しばらく歩くと眼下に船が見えた。木のハシゴを下り、船に渡してある木の板に足を置いた途端! ちゃんと架かっていなかったらしく、木の板が反転しそうになって危うく湖に落ちるところだった。重いザックを担いで落水したらただじゃすまない。後からくる人が落ちないようにきちんと板を直しておく。
12時になったが誰も来ない。あれ? 間違えちゃったかな? 戻ろうかと思ったところで平ノ小屋のご主人がライフジャケットを着てやってきた。どうもお客は自分だけのようだ。乗船名簿に名前を書いて出発。ゆっくゆっくりと岸から離れていく。思った以上にスピードは出ないが、このゆっくり感がこれまた気持ちがいい。
平ノ小屋から渡船場へ下りていく。
ここからの黒部湖も見納め。
あれが渡し船だ。木のハシゴで下りていく。
予想に反して立派な(失礼!)船だ。この後に湖に落ちそうになる。
お客は自分だけ。岸がどんどん遠くなっていく。お~、これが「平ノ渡」なんだ。このまま針ノ木谷渡船場に向けて黒部湖を横断だ。
思わず甲板に立って風を受ける。こんな山奥で船に乗るとはね。気持ちがいいったらありゃしない。やっぱ来てよかったと思う瞬間。
あまりスピードは出ていないけど、それがいい。
雨は今のところ降っていない。このまま降らないでいて欲しいが。
15分ほどで針ノ木谷側の渡船場が見えてきた。よくよく見ると若い男性が船を待っている。船が真正面につけ、男性が乗った後にご主人にお礼を言って下船する。奥深い山歩きの中でほんの一瞬だけど楽しませてもらった。
平ノ小屋に戻る船を見送った後、丸太のハシゴを登って登山道に向かう。
平ノ小屋に戻る船。気をつけてね。こんな山奥に無料の渡し船なんて不思議な感じだ。