裏銀座縦走

裏銀座縦走 ~旅が始まる~

遭難事故の跡

登山には強い心で。笠での教訓。

先月末に強い心が無くて棒に振った夏休み。そして一か月後は今シーズン最後のチャンス。まるで昨年と同じパターンだ。

一昨年は西穂からジャンダルム越えて奥穂への縦走。昨年は槍から大キレットを超えて奥穂への縦走。いずれも北アルプスの中では難関ルートと言われているところだ。で、今年はどこへ行くのか。今回は北アルプス最深部を行く。南北に長い北アルプスのちょうど中央の山々を歩きたい。

ルートは一旦槍へ、そこから西鎌尾根を下りて双六小屋から双六岳、稜線沿いに三俣蓮華岳。三俣山荘から一気に鷲羽岳に登り、水晶小屋から水晶岳ピストン。そして一気に新穂高まで帰ってくる。ここ数年の北アルプス山行のように岩場は槍への穂先のみで、あとは通常の登山道だ。しかし歩く距離が異常に長い。ペースを守らないと途中でパンクしてしまう。とはいってもルート上に山荘は随所に存在するので、その都度臨機応変にいけばいいか。

最終日の水晶小屋は定員30人と小さい。念のため予約の電話を三俣山荘に入れる。と・・・! 宿泊予定日の2日前で今シーズンの営業は終了とのこと。どうしようか?

そんな訳で予定変更。最終日の宿泊は雲ノ平山荘。ここならまだ営業している。しかしルートは? 2日目は鷲羽岳からワリモ岳を経て岩苔乗越まで下り、そこから祖父岳を超えて雲ノ平へ。3日目は雲ノ平から岩苔乗越まで戻り、そこから水晶岳ピストン。これならどうだろう。しかし距離長すぎる・・・。

  

1日目は槍まで。仕事が終わり次第、新穂高に向けて出発。初日は最後に残った夏休みを使う。木曜日の深夜なら無料駐車場は余裕だろう。

仮眠、といっても寝られるわけではない。急ぐ必要はないが、ここのところ山頂に辿りついた後にガスが出てせっかくの景色が見えなくなることが多い。できれば午前のうちには槍に登っておきたいものだ。ということで、2時半出発を目標に準備し、新穂高センターに登山届を提出。2週間前とは異なり、今度は右俣谷を行く。うまく事が運べば明後日に左俣谷から戻ってくる予定だ。

旅の始まりはいつも緊張する。心を強く、いつもの如く無理のないよう行こう。

裏銀

何度も書くが、本当にありがたい新穂高センター。みなさんもキレイに使ってね。

  
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登山届を提出。義務化されてもされなくても必ず出す。

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今回は槍を目指すので右俣谷だ。何度真っ暗な中を歩いたことだろう。

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白出沢出合にある落書き帳。砂防工事の加永建設(株)のみなさん、ご苦労様です。工事の安全を祈願。


  

真っ暗な中、白出沢を渡る。もうナイトハイクは慣れたものだが、決して気は抜かない。昨日の台風が過ぎたせいか、所々水たまりがあるが、黒部五郎への飛越・神岡新道と比べれば全然マシだ。

だんだんと空が明るくなってきた。ヘッデンを消す時は一瞬ホッとする。やっぱ暗闇の中を歩くのはお勧めしない。そろそろ「あの」滝谷出合のはずだ。

  
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チビ谷を渡る。やはり昨日は水が流れていたのだろうか。

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空が明るくなってきた。枯れた沢でも注意して渡る。

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滝谷避難小屋が見えてきた。ビバークしてる人はいない模様。

  

空はすっかり明るい。滝谷出合だ。ここは先月の8月16日、大雨で増水した沢を無理に渡ろうとした男女3名が流され死亡した現場だ。槍へのルートは随所に沢があり、雨が降っていなくても稜線で豪雨があると一気に沢が増水することで知られている。いや、沢でなくても登山道自体が川のようになってしまうことだってあるのだ。

こんな中でもどこぞのガイドが無理やりザイルを出して渡ろうとしたそうだ。残念でならない。

昨日新穂高に着いた時は台風の残り雨か、小雨が降っていたので心配だったが、今日の沢は水量も無く、難なく渡れる。すっかり辺りは明るくなった。

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滝谷出合。橋もしっかりしていて渡るのに問題はない。しかし一旦大雨が降ると命を奪うほどの沢に一変する。

  
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稜線も晴れ。もっと寒いかと思ったけど大丈夫だ。

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「ジャンダルム?」先行した若者がつぶやく。「滝谷ドームだよ」と教えてあげた。

  
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滝谷ドーム直下に見えるのは雄滝。拡大写真は昨年のレポ見てね。

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テープにしたがって沢を渡る。ここの渡渉も問題無し。でも気は抜かない。


  

一か月前にKUMAクンが槍を目指した時も、足首まで浸かるほどの水量だったらしい。この先も油断は禁物。

藤木レリーフ辺りも水が流れている。振り返って合掌。死亡した3名の冥福を祈る。

ここから次の目標は槍平。やはり槍への道は長い。

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藤木レリーフ。思えば藤木九三氏のことはさっぱり知らない。

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後で読もうと思って撮っておいたのだが、ピンボケでわからず。

  
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3名の冥福を祈り、合掌。

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石に書かれた↓シンホ高 ↑ヤリ平。KUMAクンと同じ写真。

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滝谷ドームの右手に涸沢岳の稜線が見えてきた。


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