穂高縦走

穂高縦走 二日目 ~Yクンの俺山~

穂高縦走に挑む

  

山荘にはすぐに慣れた。しかし神経質な性格のせいか、耳栓をしているにもかかわらず、数時間の浅い眠りで一夜を過ごす。今日の縦走は10時間ほどかかる長丁場だ。遅くとも5時には出発しなくてはならない。体が起きるまで1時間。4時に起床する予定であったが、3時には体を起こしていた。Yクンはまだ寝ている。

問題は天気だ。昨日の予報では明け方まで雨が残るとのこと。スマホでtenki.jpの雨雲の状況を確認すると、何とか雲は東側に流れていってくれたようだ。西穂山荘の玄関には24時間天気予報を見ることができる。ここでも上空の雨雲は消えている。早速出発の準備だ。

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西穂山荘の玄関では24時間天気予報を見ることができるのでありがたい。

  

軽く食事を取り着替えを済ますと、Yクンが起きてきた。彼も出発は大丈夫とのこと。今日の日の出は5時21分。4時半頃を出発の目途とする。独標に行くまでに日は上るだろう。時間は4時35分。まだ暗い中ヘッデンを点けて西穂山荘をYクンと出発する。

まずは昨日多くの登山者が下りてきた目の前の山に登る。最初は大きな岩がゴロゴロした急坂を登っていくが、それが一段落すると緩やかな道になる。自分にとって久々のナイトハイクだ。Yクンは順調についてきている。昨日の雨のせいか、所々水たまりがあるので、ヘッデンで足下を照らし、後続のYクンに声を掛けながら順調に進む。

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まだ暗い中、Yクンと西穂山荘を出発。さて、この先無事に奥穂へ辿り着けるだろうか。


  

左手に小さな広場が現れた。広場には標識が立っている。丸山に到着した。Yクン、これだけでも興奮気味だ。やはり目印に到達するのは誰でもうれしい。写真を撮り、ふと東の空を見ると、わずかに明るくなってきている。同時に雲が思った以上に多いこともわかってきた。何とか今日一日晴れてくれないだろうか。
次は西穂独標だ。まだ暗いので気をつけて進もう。

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薄暗い中、丸山の標識が現れた。標高2,452mだから山荘との標高差は67m。

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三角点だろうか。まだまだここは縦走路の玄関。

  
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東の空がわずかに明るくなってきたが雲が思った以上に多い。どうか晴れますように。。

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まだまだ辺りは暗いが、行くべき山の形はかろうじて見える。


  

丸山を過ぎると、石がゴロゴロしてはいるが、歩きやすい道となった。勾配もさほど急ではない。しかしここで飛ばすと後でバテるので、マイペースでゆっくり登っていく。しばらくこの状態が続いたかと思ったら、急に大きな岩がゴロゴロした所に差し掛かった。ここは三点支持でいつもの岩登り。ピークに到達したと思ったら、そこは西穂独標であった。山荘から丁度1時間。予定より早く着いた。
さて、Yクンはというと・・・。眼下でまだ岩と格闘しているのが見える。どうやら岩場はあまり慣れていないようだ。荷物が重いのも災いしている。何とか登りきった。

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道は意外に整備されている。ちょっとガスが出てきた。

  
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独標直下は岩場になっている。Yクンが遅れ始めた。

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岩場に苦戦するYクン。独標まであと少しだ。

  
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何とか岩場を登りきった。その目の前にあったものは・・・。

「独標来たよ。」
先ほどの丸山以上に喜ぶYクンだ。さすがに岩場がきつかったんだろう。

西穂独標は標高2,701m。最後の岩場だけ気をつければ登山初心者でも何とか登ることは可能だ。それ故に滑落事故も発生している。登る人も多いだけに、西穂山荘から西穂高岳の間は北アルプス南部の中でも事故件数が多いのだ。これから目指す人は細心の注意を払ってほしい。
Yクンはホッとしたのか、行動食を腹に入れている。若いと腹減るんだよね。

  
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西穂独標の標識。標高は2,701m。
辺りはガスが立ちこめてきた。視界も悪い。この先危険な岩場が続く。岩場に慣れていないYクンをこのまま行かせていいものか・・・。
ここは穂高の稜線なのだ。何とか西穂高岳まで行くことができても、その先は難しいかもしれない。

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恐らく名城大学山岳部50周年記念のバンダナが残されている。

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独標まで来てホッとしたのか、お腹が空いたYクンだ。


  
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西穂独標からの下り。ペンキマークを伝って一気に下りていく。

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この先大小10以上の岩のピークを乗り越えていく。独標から下り振り返ってみるとYクン悪戦苦闘。

  
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独標からの下りに手こずるYクン。ガスが視界を遮る。

独標からは大小10以上の岩のピークを経て西穂高岳に向かう。登ってきた反対側を覗くと、ペンキマークが記された岩がガスの中続いている。いきなりの急降下だ。Yクンに十分注意して下るよう伝えて下っていく。

このためにこれまで様々な岩場で練習しただけあって、普通に下ることができるが、過信は禁物。
振り返るとYクンがゆっくりと下っていく。やはり上りよりも下りの方が難しい。この後ペースは急に遅くなっていく。Yクン大丈夫だろうか?


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