奥穂高岳 ~白出の魔女が笑っていた~
奥穂高岳から戻ってきた
さて、こちらもじっとしている訳にはいかない。ゆっくりでも先に進まないと、明るいうちに新穂高に着けないかもしれない。この先宿泊できるところは右俣林道の穂高平山荘しかないのだ。急な下りはやはり膝に来る。ふと下りの先を見ると、先ほどの男性が見える。はて? 見たところかなりの健脚なのにかなりゆっくりと下っているのだろうか?
下りきったところで鉱石沢を渡り、岩切道を経て重太郎橋に着いた。先ほどの男性が休んでいる。下る途中、沢の上部で崩れる(?)音がしたらしい。そのためしばらく立ち止まって何事もないことを確認してから先へ進んだとのことだった。やはりベテランは細心の注意を払っているんだ。
ここからは彼の後ろを付いていく。彼もゆっくりと進んでくれるので、何とかついて行けるペースだ。思った以上に早く登山口に到着した。さあ、ここからは林道を新穂高に向けて歩くのみ。
岩切道からの白出大滝。下りのトラバースも気が抜けない。
重太郎橋に到着。昼間の沢は爽快だが落石には細心の注意を払う。
重太郎橋の架かる天狗沢上部の山。方向や形からして間ノ岳だろうか?
思えば往きはここで迷ったんだ。今後危険なナイトハイクは控えることにしよう。
思った以上に早く登山口に到着した。急な下りでなかったのが幸いした。
登山口で早めのサムアップ。まだ帰りの林道歩きが待っているだろ!
林道を歩きながら彼といろいろ情報交換をする。白出沢のルートは登山者はかなり少ない。奥穂へはほとんど上高地から登るのが通常で、平日にもかかわらずザイテングラードは行列が見られたそうだ。これも登山ブームや映画の影響なのか。今日は新穂高からの日帰りピストンの行程を話したらビックリしていた。それだけの体力があるのなら大キレットや西穂~奥穂縦走も十分可能だと言われたが、まだまだ体力が足りないし、技術も伴っていると思わない。もっともっと経験を積まないといけないな。
穂高平山荘からショートカットの道を教えてもらう。山道で下半身に負担はあるが、彼のペースについていくことで順調に下ることができた。これが単独だったら休んで進んでを繰り返し、もっと時間がかかったに違いない。
再び林道に合流。間もなく新穂高に到着した。時間は夕方5時15分。十分明るいうちに戻ることができた。荷継沢から同行してくれた彼に感謝。お互いに名前も告げることなく別れた。またいつかどこかの山で会いたいものだ。
兵庫県からの男性がペースを作ってくれた。無事に新穂高に到着! 健脚さんでなくてもやればできる。
もちろん昨年同様、下山届をキチンと提出します。
今回は登山を始めて最もきつかった。これにて奥穂高岳登山終了。もっと体力と技術がほしい。
新穂高から奥穂高岳日帰りピストン。健脚でなくても何とか達成できたが、今までの登山の中で最も厳しい山行だった。昨年の槍ヶ岳日帰りピストンと比べても、はるかに今回の方が厳しい。そういえば今回は水がかなり余っている。自分が白出沢を登っているとき、穂高岳山荘では初氷が確認されたそうだ。台風が暑さも一緒に持っていったのだろうか。思い起こせば、昨年の槍ヶ岳はとにかく暑くて水が足りなくなるくらいだったのに比べ、今回は全体を通して涼しく、さほど暑さを実感していない。もしも昨年並みの暑さであったら・・・。
やはり運がいいのか、いや、白出の魔女が自分に与えたハンディだったのかもしれない。もしそうなら悔しい限りだ。今に見ていやがれ!
【注意】奥穂高岳登山につきましては、槍ヶ岳同様、安易な日帰りはせず、計画に余裕を持って登ってください。
(当たり前ですが)