剱岳二日目 ~暴風雨~
さらば夏山
小雨が降る中、来た列車に乗る。寺田駅から上市駅まではさほど時間もかからない。一年振りに上市駅に到着。まずは駅前のファミマでアイスコーヒーを飲む。
そして駅から馬場島までの移動はタクシー。昨年同様、旭タクシーさんにお世話になる。運転手さんが年配の男性で、昔の剱岳登山客のことをいろいろ教えてくれた。
上市駅に到着。電鉄の旅もおしまい。
駅の改札を出る。ここからはタクシーで移動だ。
かつては剱岳に登るたくさんの人達を上市駅から馬場島へと運んだそうだ。バス会社と客の取り合いをしていた頃を思うと、今はかつての賑わいは無くなってしまった。それでも今年の夏は天気がいいということもあって、多くの人たちが馬場島から剱岳を目指していったようだ。
無事に馬場島についた。ちょっとだけ日が差している。しかし地面はすこし濡れており、車のガラスも水滴が付いているということは、ここでもそこそこ雨が降ったということ。今回の立山縦走は剱岳だけで終わった。ちょっと、というかかなり消化不良ではあったけど、あの暴風雨の中を歩くことを思えば途中で下山したのは正解だと思う。昨年は一時間ほどで下山したことを思えば、今年は剱岳山頂で絶景を拝めたんだ。これで良しとしよう。
しかし今回は反省点が多い。途中でバテてしまったのは、年々衰える体力のせいでもあるが、長期縦走の直前には必ず一度きつい山行で体を慣れさせないといけない。今回は真夏の銀杏峯だった訳だが、登ったのは7月。すっかり期間が空いてしまった。本来ならスケジュールを調整して事前に山に向かうのだが、今年は例年にない猛暑や悪天候で週末出掛けることができず、また本番においても仕事や天候などで予定が大幅に遅れてしまい、結果としてぶっつけ本番になってしまった。これは昨年の鉱山道での雪倉~朝日でバテてしまったのと同じ。全く学習がなされていない。
更には前夜の睡眠不足などによる体調の悪化。これも管理ができていないな。挙句の果てには判断力低下によるミスコース。こればかりはどうしようもなく、登山初心者にも劣るミスだ。結果としてうまく歯車が噛み合ってくれたからいいものの、連続して好天だったら後悔すること間違いない。
馬場島に戻ってきた。駐車場には自分の車が一台きり。
2年に渡り途中で中止となってしまった立山連峰縦走。立山の神様に嫌われているのだろうか? とも思ってみるが、最初から体調を整えておらず、無理してしまったため途中で神様がストップを掛けたのだろうか?
あのまま山行を続けていたら途中でパンクしていたか、若しくは大事故になっていた可能性も十分有り得る。むしろミスコースしたことから剣山荘で宿泊し、あの天候だったことから下山したということは、立山の神様からのメッセージだったのかもしれない。
レインを着たままだけど、無事下山。
車のウインドウにはたくさんの雨粒。
登山はこれで15年目だけど、やはり初心忘れるべからずだ。もっと真剣に山と向き合わなければね。これができなくなったら登山をやめるときだ。
山に一礼して今回の山行、今年の夏山は終了。無事下山できたことに感謝。
誰もいない馬場島。とても静かだ。
アンテナに止まった一羽のトンボ。
「また来ればいいよ」 そうだね。