西岳

表銀座はずれの地味なピークへ

西岳・赤岩岳・赤沢山

  

2019年8月4~5日 ヒュッテ西岳泊

  

3連休がない自分にとって、短時間でいけるとこは行きつくした日本アルプスはすでに限られた状況になってきている。それでも、定年後の早いうちに百高山をコンプリートするために、今からじわじわと塗り消してゆく。今回はその一環として表銀座というメインルートの中でほとんどの人が気にせず通り過ぎるピークに敢えて行くことにした。
これまで槍穂に行くにはすべてが新穂高温泉側からのアクセスだったが、4年ぶりの上高地からアクセスした。山が趣味といえるようになって11年目だが、横尾大橋を見るのは今回が初めてでワクワクしていた。

  

アカンダナ駐車場に車を止めて、バスで上高地へ乗り込み、横尾までの3時間コースを明神向けて歩き出す。さすが超メジャー観光地、朝早いのにたくさんの人が歩いている。その中で、多分、鬼の形相のように先を急ぐ輩がいた。それが私である。

と言いながら、トレラン軍団と早い人に抜かれる。

西岳

  
西岳

梓川の右岸にそびえ立つ明神や前穂の北尾根を眺めつつ歩き8時前に横尾に到着してしばし休憩。

ここからが登山道だと思いきや、まだまだ標高は上がって行かない。

西岳

  

早々と下山してくる人々とすれ違うなか、計3時間半で槍沢ロッヂに着くが、標高は1800mもない、まだ標高差300mも登ってないのだ。

西岳

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途中、右岸の横尾尾根の絶壁から流れ落ちる名もない滝を見ながら1時間ほどで大曲分岐に着く。

ここからが本格的な登りになり一路水俣乗越を目指す。途中のニッコウキスゲ群生に励まされて1時間ちょっとで登れたが、かなり体力が減退している。北鎌はここから遥か降りて登る・・・ いやぁ自分の体力ではとんでもないなぁ~

  
西岳

西岳西岳
  

大勢は槍に向かって東鎌尾根を進んでいくが、自分は反対の今日の目的地ヒュッテ西岳に向かう。単なる稜線かと思いきや意外とキツイ登りが待っていた。

西岳
  
西岳

後ろには槍と左に伸ばす北鎌尾根をちらちら見ながら進むこと1時間でヒュッテ西岳に着いた。
休憩していると、北アルプスを1週間以上一筆書中であと1泊で上高地着という若者や、「馬場島から来ました。」というつわものを目の当たりにする。

今回の目標はヒュッテの近くの西岳と大天井への途中にある赤岩岳、そして歩いている人のほとんどが知らない赤沢山の3つである。

  
西岳

まず、ルートからはすぐだけど取付きがわかりにくい赤岩岳に向かう。ブログのコピーを照らしながら取付きを探すが、通り過ぎてもわからない。

西岳

  

ハイマツ漕ぎして1つ目のピークに上がるが間違い、登山道に降りて諦めようかと思ったとき、印と踏み跡を発見して急斜面をナナカマドを掴みながら登り三角点を発見しホッとする。展望は360°だが稜線も展望が効くのでさしたる感動はなし。

登山道には一筆書きの若者が大天井へ急いでいた。あとは戻って西岳に登って本日は終了。常念には雲がかかり、槍穂方面は見えるがかすかに雷が聞こえた。アーベントロートは特になし。

  
西岳

西岳

  

翌朝もいい天気で展望もいいのだが、モルゲンロートとは言えないけどしばし見とれる。北穂小屋が朝日に輝いている。小屋泊は14名だがそのほとんどは東鎌から槍を目指すとのこと。自分は赤沢山へ行くために一人反対向いてテン場へ向かう。
すると最後の一張をかたづける単独女子が「赤沢山ですか?」と問いかけてくる。テン泊でのんびりと山旅する今どきのお洒落な若い女子(に見える彼女)がこの山の名前を知っているだけで驚いていたら、「百高山やっている方ですか?」とのこと。聞けば90座は完了し、昨日はもちろん赤岩岳と赤沢山に行ったとのこと。恐れ入りましたとのことで情報をいただき出発。

西岳
  

しかし、最初の取付きを間違えて「ハイマツ漕ぎあるって言ってたけどこんな…?」と思うような完璧なハイマツの海を泳ぐことになり、戻るに戻れず無理やりトラバースしてトラロープに合流する。

西岳

西岳
  

そこからは踏み跡をたどり、キレットを過ぎると急登も標高差はなく簡単に山頂部に着く。山頂部は膝くらいのハイマツ帯の踏み跡をたどり三角点に到着。展望は360°で角度が変わるだけだが、深い槍沢を経て近くに見える穂高は格別である。

     

帰りはもう道間違いはしない。往路に見落としたトラロープのあるハイマツのトンネルを抜けテン場に着いた。
ヒュッテで休んで、あとは昨日来た道を帰るだけである。

さすがに日本の一番人気の登山エリアは、外国人や大きなザックの単独女子やロングトレイルの人など様々な人が歩いている。帰りも鬼の形相で飛ばしたので、足にまめができて痛い。

  
西岳

西岳

上高地からバスに乗ると、車内の様子は4年前と同じくハングルが飛び交い、またまた自分が外国人と錯覚するのであった。

―おしまい―


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