笠ヶ岳 ~メンタリティ~
あの日見た稜線
標高が上がるにつれて辺りがうっすらと明るくなってきた。予報通り今日は天気はいいようだ。わずかに赤みがかかった薄青の空に穂高の稜線がはっきり。
日の出前の穂高の稜線。昨年、一昨年とあそこを歩いたんだよね。
7年前は一瞬見えたがすぐにガスに隠れてしまった槍ヶ岳も小槍と一緒にはっきりと見えている。
間もなく壊れた看板が現れた。どうやら標高1,800mのポイント。あれから100mしか上がっていない。まだまだ急登は続く。
果たして山頂、いや、杓子平まで登ることができるのか? まだ穂高の稜線からお日様は出てこない。
木々の間から槍ヶ岳。左には小槍がちょこんと。
壊れた標高1,800mの看板。杓子平までの標高差は650m!。
ヘッデンを外す。道はまだまだ急登。
苦しいながらもどんどん登っていく。南側には焼岳、乗鞍岳。まだまだ焼の方が高いな。そして東には穂高の稜線。あのギザギザをここから見たのが7年前。まさかその後に西穂、槍から歩くことになるとは。
ここ数年はあの稜線から笠を見ながら歩いた。危険できつい稜線歩きだったけど、いつも笠が応援してくれていたようだったな。
うっすらと青空に焼岳とその奥に乗鞍岳。焼岳は全体の形と独特の山頂ですぐわかるね。あちらは標高2,455.4m。
向かって左側が焼岳の北峰、右側が最高峰の南峰。
焼岳の後ろに乗鞍岳。まだ登ったことがない。
時間はまだ早いけど、7年前に見た稜線と同じ。北は南岳から南は焼岳まで一望。
ちょっと拡大。改めて西穂から奥穂への縦走路は険しい。
しかしこの時点でもう足が重くなってきた。せっかく今日はいい天気なのだが。
標高1,920mの看板。杓子平までまだ半分らしい。
稜線の向こうから日が昇ってきた。いつもなら元気が出るはずなのだが、今日はなぜかそうもいかない。久しぶりの登山だからか? いや、何かおかしい。
この時点ではゆっくりでも一歩ずつ歩いていこうと思っていた。見上げるとまだまだ頭上に登山道は続く。
日の出は大キレットから。笠が照らされる瞬間。
槍にも日が差す。いい景色だ。
頭上にはまだまだ登山道が続いている。ちょっと悪い予感。