早月尾根

剱岳早月尾根 ~撤退~

雷!!!

  

栂海新道を歩き切ったのも束の間、翌々週に最後の夏山ということで遂に剱にやってきた。御存知のとおり、剱岳は岩場の殿堂、「一般登山者が登る山のうちでは危険度の最も高い山」とも言われているそうな。今回は以前アッちゃんも使った馬場島から早月尾根ルートで山頂を目指す。

富山地鉄の上市駅からタクシーで馬場島荘へ。途中で運転手さんから剱岳がよく見える河原を教えてもらい、写真を撮る。そして馬場島荘へチェックイン。大部屋に一人きりだ。

そしていつもの如く深夜に出発。しかし・・・天気予報とは全く逆。雨が降っている。急いでレインを着込み、登山届をポストに入れて出発。登山口から急登が続く。まあ、このような地形は慣れているのだが、問題は天候。雨は全く止む気配はない。しかしこれも慣れていること。するといきなり空が光った。続いてゴロゴロゴロ・・・と大きな音。雷が近づいてきた。
ん・・・こ、これはちょっとどうだろうか・・・と思いつつ先へ進む。するとまたまた稲光の連続。こりゃダメだ。ここで直撃をくらえば命がない。ちょうど道が平坦になったところだから松尾平辺りまで登っただろうか。今日はここで撤退を決意。山で死ぬ訳にはいかない。

  

そして馬場島荘へ戻ってきた。いつの間にか雨はやみ、星も見え始めている。何というタイミングの悪さ・・・。しかしこればかりは仕方がない。
これから出発しようと何人もが登山口に向かっている。自分はというと、スイッチが切れてしまったので、一人山荘玄関のベンチに腰掛ける。

早月尾根

馬場島へ向かう途中でタクシーを止めて剱岳を撮影。あそこまで登れるのか?

  
早月尾根

馬場島荘の到着。山に登らなくてもここに泊まってみるのもいい。

早月尾根

登山届を提出して出発したのはいいが・・・

早月尾根

雨の中を登山開始。しかしこの後撤退を決意。


  

さて、ここからどうやって帰ろうか。タクシーを呼ぶにもここは圏外。山荘の玄関は閉められているので公衆電話も使えない。そうだ、剱岳に登るのに登山者をタクシーが運んでくるはず。その帰りを拾えばいいか。
とはいってもタクシーは全く来ず。考えてみればこんな真っ暗な時間にタクシー使ってここまで来ないか。それよりも富山地鉄がこんな時間には運行していないので、タクシーが来るわけない。ちょっと寒いけど防寒着を着込んで明るくなるのを待つとするか。

ベンチに座っていると、一人の男性が声を掛けてきた。出発したものの、雷で撤退したこと、明るくなってタクシーが来るのを待つか、山荘が開いたらタクシーを呼ぶなど話をしていると、思わぬ言葉。車があるので駅まで送ってくれるとのこと。その男性は早月小屋のスタッフさんだった。ここはお言葉に甘えて駅まで送ってもらう。車の中では剱岳についていろいろ教えてもらった。剱へのルートの歩き方、登山者の混み具合、熊に追いかけられたことなど話は尽きない。
そして上市駅に到着。本当に感謝だ。上市駅の始発にはまだ時間がある。駅の外で客待ちをするタクシー運転手のおじさんともしばし歓談。電車に乗り帰路に着く。

中途半端というか、消化不良で今年の夏山は終わった。でも山に登る人からは誰からも正しい判断だったと言われる。せっかく遠いところを来たのだから・・・で無理して簡単に命を落とすこともある。あのまま歩き続けて山頂に無事辿り着くか、運悪く雷に打たれて命を落とすか、全く予想も付かない。すべては結果次第。それならやめておこう、という判断が今回の結果。

ちょっとここのところ自分でもハード過ぎる山行が続くかな?と思っていたところ。山の神様にどう判断するのか試されていたのかもしれない。


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