甲斐駒ヶ岳

甲斐駒ヶ岳~独り占め~

  
  
  • 甲斐駒ヶ岳
  • 2012年5月19日~20日 晴れ 単独

    歩行ルート(戸台口⇔歌宿はバス)
    歌宿 6:56 → 8:17 北沢峠 8:30 → 9:47 仙水峠 → 11:15 駒津峰 11:33 → 13:23 頂上13:30 → 15:00 駒津峰 15:15 → 16:05 仙水峠 → 17:10 北沢峠(泊) 6:10 → 7:15 歌宿

    この日はもともと3人での富士山登山を目指していたのだが、2人の都合により急きょ単独となってしまう。ふと甲斐駒の名前が浮かび出発直前まで富士との2者で迷うことになった。富士山は少々時間が超過しても車まで戻れば帰って来れるのだが、甲斐駒はバスの時間が限られて1泊を余儀なくされるのである。しかし久々の連休ということもあり、結局甲斐駒に行くことにした。

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  • 中央道を伊那ICで降り、一路戸台口まで向かう。少し出遅れたが、6時の始発バスの時間に間に合わないと2時間後発とかなりのロスがあるので国道を飛ばしなんとかセーフ!

    沢山の人がいるかと思いきや、バスに乗ったのは5人だけであった。バスは45分ほどで鋸岳がよく見える歌宿終点に着く。立派な標札や綺麗なトイレがあり、支度をして出発する。雪など全くない道なんで北沢峠まで行ってくれたら・・・とブツブツ思っているとすぐに大きな岩が道の真ん中に転がっている。なるほど、冬の整備できていない林道は時間をかけて整備しないといけないんだ。ちなみに、大岩は粉々にくだいて整備した後、今年は6月15日から北沢峠まで行くそうである。

    1時間20分ほどかけてようやく北沢峠に到着し、長衛荘で宿泊の予約をしてベンチでパンを食らう。最初は双児山を超える直登ルートを考えていたが、山荘の女子に仙水峠ルートを勧められたので素直に従うことにした。

    山荘には水場がありスポーツ飲料をうすめるべく少し補充して出発する。直登ルートは山荘のすぐ脇から出ているが、仙水峠へは林道を山梨側に下って行く。分岐から仙水峠に向かうとすぐに北沢長衛小屋があるが小屋はもちろんトイレも閉まっている。

    ゆるい沢沿いの道を登って行くとようやく残雪が出始める。しばらく登ると沢からはずれて休業中の仙水小屋に着く。ここが最後の水場であり、きれいな水がシンクに流されている。小屋からはしばらく残雪のある樹林帯を行き、それを過ぎるとゴロゴロの岩稜帯・・・火山のような岩を敷き詰めたような場所に出る。地形的には枯れ沢であるが不思議な景色である。そこを登りきると仙水峠である。

    で、急に、高く急峻な摩利支天を従える甲斐駒が見えて感動する。「しかし、高く遠いなぁ~」

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峠からは本日初めてといってもよい急な上りとなる。やっと高度が稼げると思うが、実はこの時点で結構ばてていることに気がつく。一昨日に積もったらしい雪が、暖かい日差しで溶けてポタポタと落ちる残雪の樹林帯を登っていく。急だが安全な道でアイゼンも不要である。

駒津峰にはバテバテの標準タイムで到着。ここでおにぎりを2つ頬張り大休止。しかし、頂上が高く見えるしここからは六万石の鞍部に向けての下りである。結構急なうえに北尾根なんで雪が多く、ストックをしまいピッケルを使って後ろ向きに降りる。

2回目の急降下でアイゼンを装着する。二つほど小ピーク(ギャップくらいか?)を超え、いよいよ甲斐駒への上りである。ここからは直登ルートと迂回トラバースルートに分かれるが、バテバテのため少しでも近く・・・と直登ルートを行く。

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  • 岩々を四肢を駆使して登っていくが、雪はほとんどなくアイゼンの岩トレになったし、あれほど高く見えた頂上が意外と近く感じてよかった。でも標準タイムオーバーのヘロヘロ到着である。

    バスに乗っていた人はみな仙丈へ行ったとみえて北沢峠からは誰にも会わない。今日は甲斐駒独り占めである。

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展望は素晴らしいの一言! 鳳凰山の上に富士山が見えているし、北岳はさらに高く尖っていて、仙丈岳はドシッと構えているし、八ヶ岳は手に取るように、中央アルプスは全部見えるなどなど。ただ、先週のトピ山行で行った守屋山の同定に自信がないのが残念。

東側には憧れの黒戸尾根が、西には鋸尾根が下りて行っている。雪はかぶっているが暖かいので保温機能のあるペラペラの長袖で十分である。


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  • 折り返しのリミット時間を13時半と設定していたため、景色もそこそこに下山開始となる。岩々の下りは時間がかかるのでトラバースコースを選択する。白い甲斐駒の象徴である砂がいいクッションになる。

    摩利支天との分岐を過ぎると六万石のある鞍部へのトラバースの始まりである。急な雪渓のトラバースは、アイゼンとピッケルを既にしまっているのでそのまま行こうとするがやはり滑る。大きく滑るとかなり下まで滑落してしまう状況であり、ここは安全を取りアイゼンを再度履く事にした。バサバサの雪でアイゼンでも滑る状態であり怖い。こんなところが3箇所もありバテバテに追い打ちをかける。六万石のある鞍部についてから駒津峰の登り返しもスローモーションである。

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駒津峰で大休止をしてあとは上りもなく下るのみで、仙丈、北岳、鋸ともお別れである。しかし食事時間の17時にははるか間に合わない。今日は泊まりで明日登る人がいっぱいいるに違いないと思い下る。仙水小屋で水を補給して、ヘロヘロ野郎はひたすら降りる。北沢長衛小屋をすぎて林道に入るともうすぐだが、このゆるい上りでもしんどい! こんな体力ではどこもいけないと嘆く(-.-;)

やはり、睡眠不足がたたっているのか? と自分に言い訳しておこう・・・(苦笑)

予想に反して宿泊客は居なかった。貸切の山小屋である! これは快適~こんなのは初めてである。夕食は量も種類も多く食べごたえありである。

支配人と思われる男性と山の話をして、DVDを見て20時に就寝。寝具は毛布2枚で充分暖かかったし、枕灯があるのは嬉しいが寝不足の即寝野郎には必要なかった。

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  • 翌日は、仙丈でも登らないともったいないが、昼からのバレーの練習参加に向けて帰ることにする。と言いながら、どうせ現在の体力では登れません(;´Д`)

    バスの始発に向けてあとは下るだけである。大平山荘に向けてのワープ遊歩道を経てあとはひたすらアスファルトである。中間点で今日の登山者とすれ違うが、今日は多いかと思えば、単独女子を含めて4人であった。この時期はこんなもんかぁ。


    当然、バスも独り占めである。で途中、シンシュウコイワザクラが咲いているところで止めてもらい写真を撮らせてもらう。

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  • また、行きのバスで「カミキリムシを取りに来る」って言っていた事の詳細を運転手に聞いてみた。

    ツジヒゲ○×※カミキリ(名前がわからない)が山麓に植えてあるカエデの木に居て、それがマニアの間で高額取引されるとのこと。高いときには30万円とか40万円とか?

オオクワガタより高い昆虫がいたんだ! 驚きである。現に戸台橋付近には還暦を過ぎてようかという男性3人がそれぞれ大きな虫網を持っているのである。小学生じゃないよね~ 上りのバスにも乗っている。

こうして話題の多い満足な独り占めの山旅が終わり、昼からはバレーの練習、夜には緊急の仕事で呼ばれ、また眠たい1週間が始まった。


(おわり)


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