能郷白山

いきなりクマに沈

  
  

日本では1月が新年であると同時に、4月が年度の始まりだ。学校や職場、その他いろいろ新年度が始まる。という自分も人事異動で慣れ親しんだ職場を離れて新しい職場に赴任した。しかし慣れない仕事はストレスたまるばかり。ましてや片道1時間以上車を運転しての通勤はかなり疲れる。てな訳で山もほとんど行かずじまい。しかしこれでは体が鈍ってしまう。最後に登った雷倉から40日。

寒さにめっぽう弱い自分にとってだんだんと暖かくなってくれるのはありがたい。桜はとっくの昔に散ってしまい、新緑の山を楽しむ・・・といきたいところだが、今回登るのは能郷白山。そう、木村さんと山を始めてから3回目に登った山だ。この時期根尾へ向けてバイクを走らせると、進行方向はるか遠くに真っ白な山が見えている。能郷白山は奥美濃の山で最も遅くまで雪が残る山だそうだ。そういえばす~さんも登りたがっていたっけ。

この山ははるか昔にパジェロで国道(というか酷道)157号を走り、温見峠をよく訪れていた。今ではその温見峠が能郷白山の登山口となっており、山頂までの最短ルートとして人気がある。しかし今の時期は国道157号は冬季通行止め。能郷白山へは根尾の能郷谷からしかルートが無い。しかも11年前に登った時と違うのは、昔は登山口近くまで車で入ることができたのだが、今はゲートがあって登山口まで1時間弱林道を歩かなくてはならない。

自宅を4時半に出発。根尾に向けて車を走らせる。根尾に入り、新しくなったバイパスを走って道の駅を過ぎる。能郷の集落からしばらく細い林道を進むと黒いゲートが現れた。車はここまで。ゲートの手前にはちょっとした駐車スペースがある。もっと登る人がいるかと思ったら意外にも車は自分以外に一台だけ。先に来ていた男性は先に出発していった。

自分にとって久々の登山。登山口までは適度なウオーミングアップとなるだろう。ちょっとヒンヤリするが、パーカーを羽織るまでもない。それよりも歩いているとすぐに暑いくらいになるだろう。しばらくは舗装された林道を歩いていく。

沢の音と鳥の声だけが聞こえる静かな朝だ。道のあちこちにはまだ新しい獣の糞が散乱している。ふと前方を見ると、三匹ほどの猿が道の上にいる。奴ら、こちらが鈴を鳴らしていても全く気にしていない。それならと鈴を激しく振って音を大きくしたらようやく山に入っていった。

  
能郷白山

ゲート手前にある広場に駐車。既に辺りは明るいが自分以外には一台だけだ。

いきなり猿に遭遇したなと思いながら左カーブを抜けると、50mばかり前方に黒い影。あれ? 猿にしてはでかい。四足のあの獣は・・・熊じゃないか!! ここで鈴を鳴らしながら歩く速度を極端に遅くし、最後に立ち止った。熊はこちらを見るわけでもなく、お尻をこちらに向けてのそのそ歩いたかと思うと、そのまま山の中に消えていった。恐らく鈴を鳴らしていたのでこちらの存在にも気付いていたのだろう。

まるで「うるせーな、わかってるよ!」とでも思われていたのだろうか。

念のためちょっと時間をおいて再出発。アスファルトの路面の一部が濡れており、異常に獣臭い。そう、山の生き物にとって明け方は食事とトイレの時間なのだ。登山口までは意識して自ら声を出しながら先を急ぐ。

途中で道は未舗装路に、というよりは舗装路は崩れ落ちていた。再度舗装路に合流してしばらく進むとようやく登山口。ゲートから実に50分ものウオーミングアップだ。

  
能郷白山

いつからかわからないが林道にはゲートが設置されている。

能郷白山

ゲートから出発。細いアスファルトの林道を進む。

能郷白山

たまに現れる洗い越し。多少濡れても大丈夫。

  
能郷白山

多分11年前はここら辺りまで車で入ってこれた記憶が。


能郷白山

これじゃジムニーでも入れない。

能郷白山

ようやく到着した能郷白山登山口。登山案内の看板も見るも無残に崩れ落ちている。さて、ここからがスタートだ。


  

登山口はいきなり沢渡りから。しかし水量も多く、勢いよく流れているな。ここの石に足をおいて・・・次は・・・足を置くところがない。あそこの石は濡れているので滑りそう。まあ、滑ってもいいや! と思ったらいきなり沈!!! 両足もろとも沢の中。ひえーこりゃ早々まいったぜ!

その先には先に出発した男性。どうやら自分と同じく沢に落ちたらしい。ちょっと靴の中が濡れてしまったが、さすが山道具。ちょっと湿ったくらいでぐちょぐちょではない。途中で靴ひもを結び直して気を引き締める。

たしかここからいきなりの急登だったはず。前来た時は新緑が見事にキレイだったっけ。ぐんぐん高度を稼いでいくとガードレールが見えてきた。林道との出合だ。

能郷白山

いきなりの不覚。ここで沢に落ちてしまうが、「落ちる」だけでよかったよ。

  
能郷白山

ここから先、急登をひたすら登る。

能郷白山

タムシバの花がぽつんと咲いている。

能郷白山

山頂まで4,315mだと? 先は長いな~。

  
能郷白山

一年ぶりに出会ったイワウチワの花。もう春だ。


能郷白山

ガードレールが見える。林道出合だ。

能郷白山

ガードレールが無かったらここが林道出合だとは気付かないかもしれない。それだけ荒れ果てている。ここから能郷白山に向けての試練の始まりだ。


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