片知山 ~藪山キャンセルでヤブ山~
藪に獣
何か途中から雲行きが怪しくなってきた。天気ではなく、登山道のことだ。かなり踏み跡が不明瞭となってきており、頼みの仏像も藪に隠れて見落としてしまう。笹が登山道を覆うようになり、場所によってはルートファインディングをしながら行く手を見極める羽目になっていく。さらに悪いことに倒木も随所にあり、その先は全くもってトレースも消えている。コロナ禍でマイナーな山に登る人が減ったためだろうか、やはり歩く人が少なくなると登山道は荒廃し、そのうち廃道化するのも納得だ。
何とかGPSで確認しながら尾根を外さないように登っていくと、小さな建物が見えてきた。かなり悪戦苦闘したがようやく岩屋観音堂に到着。
仏像も藪の向こうに隠れている。
GPSを見ながら登りやすいところを見極める。
藪の中にわずかに確認できる踏み跡。この先何度も倒木で行く手を遮られる。
ようやく岩屋観音堂が見えてきた。
県指定の重要文化財らしい。
円空作の十一面観音薬師如来像が祀られている岩屋観音堂。前回も前々回も扉が閉まっており、見ることはできない。後に調べてみたら、和紙の里会館へ移座されたとのこと。
さて、ここからが問題。一旦稜線に出ないといけないけど、全くもってどこを歩けばいいのかわからない。かろうじて藪に隠れたフィックスロープを見つけて目の前の稜線に向けて這いつくばるように登っていく。ようやく稜線に出ると、ここからはわずかだが踏み跡が続いている。山頂まではもうちょっと頑張らねば。
あいも変わらず登山道は藪で不明瞭。藪山キャンセルしたのに結果として藪山を登ることになってる。まあ、あと少しなのでルートを確認しながら登っていくと、人の声? いや、音楽が聞こえてきた。すると行く手に年配の男性が座っている。何事かと思ったら、奥さんだろうか、脇から出てきた。どうやら夫婦で登っているようだ。男性はスマホから音楽をボリュームを上げて流している。どうやらガサガサと音がして黒いものが通っていった(?)らしく、警戒していたところらしい。獣の気配は辺りからは感じられなかったけど、二人の脇を通らせてもらい、先へと進む。山頂直下はさらに藪が張り出していてちょっと難儀したが、何とか山頂が見えてきた。
観音堂から稜線に出るのが一番の難関だ。
やれやれ、まさかの藪漕ぎになるとは。
山頂に向けて尾根伝いに進む。何とか踏み跡は見えているが、見失ったとしても尾根を外さなければ何とか大丈夫のようだ。