蕎麦粒山 ~平成の記憶と令和の登山~
道が塞がれる
いきなり・・・いきなり行く手を遮られた。
木々の間から行く先を見ると、何か倒れている。なんと倒れているのは大きなヒノキの木。しかも倒れ方が尋常じゃない。根こそぎというのはこのことか。根が張った地面をえぐるようにして倒れており、それが行く手を遮っているのである。さて、いつもなら木の上に乗りヒョイヒョイと渡っていくのだが・・・これだけの倒木の上、どうやって行こうかちょっと迷う。いや、足を掛けるところも探さなければならない。慎重に手前の木に覆いかぶさるように掴まり、そして先へ。しかし木が浮いているのでその先の枝に足を掛けるも、枝が足に絡まってしまい、どうにも身動きが取れない。
半ば強引に這いつくばるように、足を掛けるところを何とか探し、枝を掴みながらクリアした。しかし、その先にも大規模な倒木。まだ枝は一部しか枯れていなかったので、恐らく昨年秋の台風で倒れたのだろう。それにしてもここまでして登ろうとする自分に呆れ返ってしまう。これでこのルートを引き返すのはちょっと嫌になってしまうだろう。
大規模な倒木は三ヶ所。これはちょっと危険だ。今後この登山道が整備されることはないと思われるので、このまま廃道化してもしょうがないね。それにしても体中土と木屑だらけ。こりゃ参ったよ・・・。
改めて見下ろすとかなり高度が上がったのがわかる。しかし小蕎麦粒山からの小ピークの肩まではまだまだ先だ。
ヒノキの木が根こそぎ倒れていてルートを塞いでいる。巻くこともできず、このまま木の上を越えていくしかない。
こんな束になって倒れているのでどこをどうやって進めばいいのか。
なんとかクリア。かなり時間を費やした。
倒木は連続して三ヶ所。地面が木の根でえぐられている。標高は850~900m付近。ここはちょっと危険だ。整備される可能性も無いため、いずれ廃道となるだろう。
倒木を乗り越え先に進む。しかし到るところで低木を掻き分けなければならない。ちょっと視界が開けたところでザックを下ろす。思えば今日初めての休憩だ。目の前にはなだらかな五蛇池山。そして稜線を左へたどっていくと、小蕎麦粒山のピーク。その更に左側(隠れて見えないが)に目指すべき小ピークの肩がある。こんな荒れたルートをまだまだあそこまで登らなければならなのか・・・。
実は倒木エリアの他にも道がなくなり、木にぶら下がるように登っていく箇所もある。迂回したり巻いたりするような箇所は無い。危険なのでこのルートは登らない方がいいと思う。
見上げてみる。あそこが小蕎麦粒山だ。
かなり疲れた。ここで小休止。ザックを下ろす。
天気はいい。気温は約20℃。
呼吸を整えて再出発。しかしルートの様子は高度が増すにつれて更にひどくなっていく。木々を掻き分け、一旦おさまったと思ったらまた行く手を遮る薮の嵐。その木々の間から独特の形の山が左手に見えてきた。ようやく蕎麦粒山を捉えた。山頂直下にはわずかだが雪が残っている。あそこへは小ピークの肩から一旦下り、最後の急登を登っていかなければならない。果たして辿り着けるのか、今更ながら心配になってきた。
タムシバの白色とシャクナゲのピンク色。いい組み合わせだ。
一旦薮はおさまった。しかし更に進んでいくと・・・。
行く手にシャクナゲの木やその他様々な低木が行く手を遮る。何とか踏み跡は確認できるのだが、先へ進むにも難儀する。途中で嫌気が差してくることもあるが、何とか小ピークの肩までは頑張らねば。
左手にタムシバの花の向こうに見えるぽっこりとした山。あれが蕎麦粒山だ。
更に薮をかき分けて登っていく。
はっきりと蕎麦粒山の姿が見えてきた。それにしてもあそこまで行けるのかな?
山頂直下には雪。まさかあそこを歩くんじゃないだろうね。
そしてようやく小ピークの肩に着いた。ここには岩がむき出しになっているだけ。しかしここは15年前と同じ。すぐにここが小ピークの肩であることはわかった。
さすがに汗だくでザックを下ろす。行く手には先程から見えている蕎麦粒山。そして反対方向にはすぐ近くに小蕎麦粒山が見える。近くとはいえ、さすがにここまで来るのに体力を使った。小蕎麦粒山へ行く気力は全く無い。
まずはここで十分休憩を取る。山頂まではここから下って登るだけ。ここまで登るのにかなり悲惨だったけど、ここから先はこれ以上に荒れた登山道、いや廃道と戦うことになる。
気温は約15℃。これ以上暑くなるとちょっと厳しいかも。
これから向かう蕎麦粒山。近くに見えるのだが・・・。
反対方向には小蕎麦粒山。さすがにピストンする気にはなれない。
小ピークの肩にある岩の上で休憩。確か15年前の木村さんもここまで登るのにフラフラだった。少なくとも大規模な倒木や整備されていないルートはもはや廃道。安易に立ち入るのは避けたい。