アルマヤ天

登山口が見つからない

  
  

恐らく山登りを始めてから最も多く登っている山は木曽の御嶽かもしれない。田ノ原から登れば短時間で3,000mを越える剣ヶ峰まで到達することができる。また御嶽の特徴の一つとして、北アルプス南に位置する東西30数kmにわたる独立峰であり、山頂部もいくつもの峰を有する広い頂稜となっていることである。一般的に知られるところでは、4つの峰(剣ヶ峰、摩利支天山、継母岳、継子岳)、3つの頂上(王滝頂上、飛騨頂上、開田頂上)がある。ちなみに3つの頂上は各登山ルートの頂上であり、所謂「てっぺん」ではない。王滝頂上は田ノ原からの王滝ルートで王滝頂上神社。飛騨頂上は何度もレポであるように、五ノ池小屋のあるところ。開田頂上は開田高原からのルートで三ノ池南端となっている。これらの頂上はいずれも到達済み。

一方、4つの峰も2年前に薄い踏み跡を辿りながら登った継母岳ですべて到達した。御嶽にはまだまだ名も無い小さなピークが多くあるが、その中でも地図に明確に名前が付けられているところがある。サイノ河原の北側、避難小屋があるところから東に数百m、標高2,897mのピークで「アルマヤ天」と名前が付いている。「アルマヤ天」は「阿留摩耶天」と書き、御嶽に住むアルマヤ坊という天狗の住む山だそうだ。残念ながらここへ至るルートは継母岳同様無いとのこと。

しかしどうにも気になるアルマヤ天。7月に久々剣ヶ峰まで登った帰路、避難小屋で休憩している途中でこっそりとアルマヤ天のピークの写真を何枚か撮っておいた。後で拡大して確認してみると、山頂には限りなく小さな人工物(ボルトのような形?)が見える。7月のレポの最後に「次の御嶽の標的は決まった。」とあるが、これこそアルマヤ天を目指そうと決意したときであった。


今回は初めてのルートとして、チャオ御嶽スキー場から日和田道へ抜け、継子岳~五ノ池経由でアルマヤ天を目指すコースとした。スキー場の駐車場に着いたのがまだ真っ暗の日の出前。約1,800mの標高ということもあり、どうやら外気は氷点下に近いようだ。間もなく空が明るくなってきた。目の前には乗鞍岳。車外は寒いけど耐えられないような寒さではない。スキー場ゲレンデに出ると、目の前に御嶽がそびえている。ゲレンデに向かって左手に林道が延びているが、これが日和田道につながるパノラマ歩道だ。

辺りはすっかり明るくなった。地図によると日和田道へのショートカットの道があるはずだ。途中で右手に道が延びている。道は低木が張り出しているが、恐らくこれがショートカット道だろう。しかしちょっとした広場に出た途端、道がなくなってしまった。前方は森の中か生い茂る笹。わずかな踏み跡らしき箇所を探しながら笹の中に突入するが、すぐに先へ進めなくなるほど。北側ということもあって辺りはまだ霜が降りている。ここはショートカットを断念して元のパノラマ歩道に戻ることにした。

パノラマ歩道を更に進むと、左手に下から来ている日和田道の分岐点を見つけた。あれ? 右手に登山口なんてなかったぞ。おかしいと思いながらそのまま先へ進む。どれくらい進んだだろうか。それにしてもおかしい。振り返ってみると、なんと御嶽がどんどん離れていってる! どこで間違えたんだろう?

  • アルマヤ天写真

    チャオ御嶽スキー場を出発。乗鞍のシルエットが見事。

  • アルマヤ天写真

    ゲレンデに出る。「日和田富士」と呼ばれるほど北側から見る御嶽はきれいだ。

  • アルマヤ天写真

    ゲレンデ左手にパノラマ歩道の起点がある。ここから日和田道へ。

  • アルマヤ天写真

    パノラマ歩道をひたすら歩く。今日は連休なので登る人も多いだろうか。

  • アルマヤ天写真

    所々標識があるので安心はしていたのだが・・・

  • アルマヤ天写真

    ちょっとおかしいぞ。御嶽が遠ざかっている。急遽来た道を戻る。


何とかスキー場の標識の所まで戻ってきた。何かを察知したのか、辺りを見渡してみると、すぐ横に笹に覆われた登山口が! 登山口の標識は地面に倒れ、ルートも笹で覆われよく見ないと登山道とはすぐにわからないほど。

  • アルマヤ天写真

    チャオ御嶽スキー場の標識がある。ここで周囲を見渡すと・・・。

  • アルマヤ天写真

    こ、こんなところに登山口! 笹に隠れてわからなかった!

  • 注意力散漫だったとはいえ、これではちょっとわかりにくいね。スキー場を出発して何と2時間半も費やしてしまった。

    一時は今日は中止しようと思ったくらいだったが、この先は時間と相談してどこまでいくか決めよう。気を取り直して出発!


次へ 地図へ
シーズン1 シーズン2